2025年に供用を開始した「水産養殖研究・生産センター」は、大規模な稚魚育成および成長最適化技術を通じて、これまで家族単位で行われてきた養殖事業を、商業規模の産業体系へと転換。水産物の経済価値を大きく高めている。(写真:外交部)
中国の圧力を受けて外遊を断念した頼清徳総統は急遽、林佳龍部長を特使としてエスワティニに派遣することを決めた。エスワティニ王国を訪問した林部長は、エスワティニ王国の国王ムスワティ3世の即位40周年、58歳の誕生日、そして同国独立58周年を祝う一連の記念行事に参加したほか、台湾の支援を受けて建設が進む「戦略石油備蓄タンク」や「台湾産業イノベーションパーク」(TIIP)第1期予定地の視察などを行った。
エスワティニ訪問の最終日には、Mduduzi Matsebula保健相に伴われ、エスワティニ最大の都市で、エスワティニの地理及び交通上の要衝でもあるマンジニ市を訪れた。エスワティニ政府は医療の分散化を推進しており、台湾はこれに協力するため情報通信技術(ICT)分野の強みを活かし、スマート医療計画をこの地に導入。台北医学大学附属医院から派遣されている台湾の医療チームを首都ムババーネから移し、この地域にあるマンジニ政府病院(Manzini Government Hospital)がエスワティニ初となる「スマート医療モデル病院」へ転換するのを支援した。
このプロジェクトは、中華電信の子会社である資拓宏宇(International Integrated Systems、略称IISI)と台北医学大学附属医院がエスワティニに派遣する医療チームが担い、わずか半年で医療チームの移転を完了させた。受付、待合、診察・検査から薬の受け取りまで、その順番を「番号」で表示するシステムを導入したほか、遠隔専門外来や遠隔放射線画像診断を導入することで、現地の人々がより迅速に、かつ正確に医療サービスを受けられるようにした。マンジニ政府病院を視察した林部長は、同病院の「スマート医療モデル病院」への転換・高度化について、台湾とエスワティニの協力がデジタル化・精密化・スマート化の新段階に入ったことを象徴するものだと述べた。
ハード面の整備だけでなく、林部長は人材育成の成果も強調。台湾の私立義守大学(高雄市大樹区)で学び、帰国したエスワティニの医療従事者に対し、「白衣はその専門性の高さだけでなく、この国の希望を象徴するものでもある」と述べ、すべての医師が「台湾とエスワティニの友好の種子」となって同国の医療体制の充実に寄与するよう期待を寄せた。Mduduzi Matsebula保健相のほか、義守大学医療専門課程の卒業生を代表して Candice Banda医師が挨拶の言葉を述べ、長年にわたり同国の公衆衛生及び医療の発展に寄与してきた台湾に「心から感謝する」と伝えた。
林部長はその後、2025年に供用を開始した「水産養殖研究・生産センター」を視察した。同センターは、大規模な稚魚育成および成長最適化技術を通じて、これまで家族単位で行われてきた養殖事業を、商業規模の産業体系へと転換。水産物の経済価値を大きく高めている。
林部長はさらに、台湾が技術支援を行う果樹モデル農場も視察し、グアバ、ドラゴンフルーツ、イチゴなど高付加価値作物の栽培成果を確認した。これらの取り組みは、同国の農業の構造転換を促進し、地元の生産者らがより高収益の市場競争に参入することを可能にしている。
林部長は、こうしたプロジェクトの核心はエスワティニの産業の持続可能な高度化と商業化の推進にあると強調し、「Taiwan can help, Eswatini can lead」を目標に、今後もエスワティニが各分野でリーダーシップを発揮できるよう支援していく考えを改めて表明した。
林部長は現地時間26日、2日間にわたるエスワティニ王国訪問を無事に終了。同国のポリレ・シャカントゥ外務・国際協力大臣、マンコバ・クマロ商工貿易大臣、および同国在留の台湾人らの見送りを受けて帰国の途に就いた。