今年のAPEC貿易担当大臣会合が5月22日から23日まで、中国の江蘇省蘇州市で開催される。台湾からは、行政院政務委員(無任所大臣)兼行政院経貿談判弁公室(OTN)総談判代表(交渉代表)の楊珍妮氏が、OTNおよび外交部の関係者とともに出席することを予定している。こうした中、中国で対台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の張晗報道官が13日、中国側は「一つの中国」の原則およびAPEC関連の了解覚書の規定と慣例に基づき、台湾の参加問題を処理すると述べた。これを受けて台湾の外交部は同日、プレスリリースを通してこれを厳しく非難するとともに、台湾の立場を説明した。その内容は以下のとおり。
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台湾は、アジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)が参加する経済協力の枠組み、APEC(アジア太平洋経済協力)のメンバーの一つであり、1991年の加盟以来、他のエコノミーと同等の尊厳と権利の下で、関連の会議・活動に参加してきた。しかしながら中国は、APECの関連規範や長年かけて築いてきた良好な慣行を無視し、さらには2024年に(2026年の)議長国に選出された際におこなった約束を反故にして、悪意をもってわが国のAPEC参加の地位を貶めようとしている。これはAPECの調和を損なうのみならず、中国の覇権的な権威主義の本質を改めて浮き彫りにするものだ。外交部はこれを厳しく非難するとともに、最も強い抗議と不満を表明する。
わが国が1991年に署名したAPEC加盟のための覚書には「一つの中国」の原則に関する文言は存在せず、わが国は他のエコノミーと平等に各種会議・活動に参加できると明記されている。一方、中国が署名したAPEC加盟のための覚書では、中国側が主張する「一つの中国」の原則や、主権国家と地域経済体(エコノミー)は区別されるべきであるとの立場について、APECは「留意する」(taking note of)との表現を用いるにとどまり、これを承認または受諾していない。
わが国、およびわが国と近い理念を持つ国々の一致した要求を受け、中国は2026年のAPEC議長国となることが確定した2024年の段階で、各エコノミーの会議参加者の身体の安全および中国への円滑な出入国を保証することを文書で明確に約束した。また、APECに加盟する21のエコノミーの外務・経済担当大臣が出席する2024年及び2025年の「APEC年度閣僚会議(AMM)」の共同声明では、中国を含むすべての加盟エコノミーが、「すべてのエコノミーはAPEC首脳会議を含むあらゆるAPECの会議に平等に参加すべきである」との文言を盛り込むことを一致して支持した。ゆえに、中国は2026年の議長国として自らの約束を履行し、すべての加盟エコノミーのコンセンサスから生まれた決定を遵守する責任と義務を負っているのだ。
外交部は改めて明言する。第二次世界大戦後、国際法上の効力を有する「サンフランシスコ講和条約」(1951年調印)が、「カイロ宣言」および「ポツダム宣言」などの政治声明に取って代わられた。この条約は台湾が中華人民共和国に帰属すると明記しておらず、また中華人民共和国はこれまで一度たりとも台湾を統治したことがない。したがって台湾は決して中華人民共和国の一部ではない。
さらに台湾では、1980年代半ばからボトムアップ型の政治の自由化と民主化が進み、1996年には初めて総統直接選挙が実施された。これにより、中華民国政府の行政府と立法府の代表はすべて台湾の人々によって選出されるようになり、中華民国政府は台湾を有効に統治し、対外的に台湾を代表する唯一の合法政府となった。同時に、中華民国台湾と中華人民共和国が対等に存在し、互いに隷属しない現状が確立し、これはすでに客観的事実となっている。その後、2000年、2008年、2016年と三度にわたる政権交代を経て、台湾の民主制度と主体意識は強化されてきた。そして、自由と民主主義を追求する台湾の人々の強い信念と意志を反映してきた。したがって、APECを含む多国間枠組みにおいて台湾に住む2,300万人を代表できるのは民主的プロセスによって選ばれた台湾の政府のみであり、中国には干渉したり意見をする権利はない。
中国はAPEC議長国としての責任を果たし、APECの全ての加盟エコノミーの平等な参加という核心原則を遵守するよう改めて厳重に求める。また、APECの関連のガイドライン、規範、慣行、および中国自身が行った約束に基づき、今年中国で開催されるすべてのAPEC会議および活動への台湾の平等な参加を具体的行動によって確保すべきである。台湾の平等かつ尊厳ある参加を矮小化または排除しようとするいかなる政治的操作もわが国は断じて受け入れず、近い理念を持つパートナーと連携して断固として対抗していく方針である。