2025/09/05

Taiwan Today

経済

世界初、水産試験所が海水で養殖可能な大型ティラピアの開発に成功

2018/09/10
行政院農業委員会水産試験所が、完全な海水で養殖可能な大型の「呉郭魚」(ティラピア)の開発に成功した。すでに業者に技術を移転、稚魚(水槽の中)の繁殖に取り掛かっているという。(中央社)
行政院農業委員会(日本の農水省に相当)水産試験所が、完全な海水で養殖可能な大型の「呉郭魚」(ティラピア)の開発に成功した。すでに台湾南部・屏東県の養殖業者に技術を移転、稚魚の繁殖に取り掛かっているという。
 
稚魚の養殖業者、黄壹聖さんによると、水産試験所が2年間かけて、塩分濃度2.5%の水中で飼育可能なティラピアの交配を繰り返して繁殖させた結果、ついに完全な海水での浸透圧問題を克服、世界で初めて、完全な海水(塩分濃度3%)で養殖できる大型の海水ティラピアを開発することに成功した。
 
完全な海水で養殖した大型ティラピアは全身が青く、ヒレの先は赤色を帯びている。台湾において淡水で養殖されるティラピアの稚魚は年間1億匹、1匹0.45台湾元(約1.6日本円)であるのに対し、黄壹聖さんの海水大型ティラピアの目標は年間100万匹で1匹5台湾元(約17.8日本円)。まずは年間で成魚10万匹の生産を希望している。
 
淡水ティラピアは5~6カ月で稚魚から600gまで育つ。海水大型ティラピアはさらに1~2カ月必要だが、肉質がしっかりしている他、淡水ティラピアにありがちな泥臭さがない。淡水ティラピアの卸値、600g30台湾元(約107日本円)と比べて、海水大型ティラピアは200台湾元(約712日本円)と、何倍もの値段で取引できるという。
 
海水を用いた養殖ならば、淡水を求める養殖業者が地下水を過剰にくみ上げることで起きる環境問題も回避できる。海水大型ティラピアは来年下半期には量産に入り、市場への出荷も可能になるということで、黄さんは台湾、日本、韓国での「お刺身」市場に進出し、高付加価値の魚としてブランドを確立したいとしている。
 
 

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