科技部(日本の省レベル)が7日、台湾の最高学術研究機関・中央研究院(中研院)及び経済部(日本の経産省に相当)と共に、台湾が量子時代に向かうことを宣言した。量子科学技術の発展のため、向こう5年間に80億台湾元(約290億日本円)を投じる。また、中央研究院は台湾南部・台南市の沙崙に量子科技研究基地を設置する。
科技部は関係省庁と共に開いた「量子新時代にまい進する台湾」記者会見の中で、量子技術の重要な利点の一つは強大な演算力だと指摘、パソコンに次世代型のCPU(中央演算処理装置)が現れるように、演算にかかる時間を大幅に短縮出来ることから、IBMやマイクロソフト、グーグルなど世界の大手メーカーが近年積極的に研究を進めていると説明した。
科技部では、量子新時代に向き合い、2021年から2025年の間に40億台湾元(約145億日本円)を投じる計画。また、経済部が18億台湾元(約65億日本円)、中央研究院が22億台湾元(約80日本円)を拠出し、合計80億台湾元で量子科学技術の発展に取り組む予定だという。
科技部の呉誠忠部長(大臣)はあいさつの中で、新型コロナウイルスが世界で拡大する中でもTSMC(台湾積体電路製造株式会社)やコンピュータの周辺産業は好業績だとした上で、量子技術はしばらくその成果を見ることはできないだろうが、研究を先行させる必要があると訴えた。呉科技部長はその理由として、量子技術はパラダイムシフトをもたらす技術で、フィンテック(金融サービスと情報技術を結び付けた動き)に関する暗号化や製薬会社に画期的な変化を与える可能性があることを挙げた。
呉科技部長によると、研究方向は量子デバイス、量子コンピュータ、量子演算、量子通信などの技術項目もしくはこれら項目の枠を超えた総合的な発展。呉科技部長は、資源に限りがある中で異なる分野の人材を結び付けられることに期待した。また量子技術は現在のパスワードを失効させる恐れもあるとして、様々な法規制を調整し、関連の対応方法を打ち出していく必要性も指摘した。
中央研究院の廖俊智院長によれば、同研究院ではすでに基礎研究から量子科学の研究へと進んでいる。量子技術の基礎研究には精度の極めて高い製造設備、ならびに電磁ノイズを低く抑えられる実験室が必要で、中央研究院では同研究院の南部院区(台湾南部・台南市)に量子科技研究基地を設ける予定。アクセスが便利なほか、南部サイエンスパークにも近い。
経済部技術処の邱求慧処長は、今後経済部は産業界に対し、技術と特許に関する準備を先行して整えておくよう働きかけていくと語った。その主な方向は三つで、まず半導体分野での強みを生かして量子技術の基幹部品を開発すること。次に、量子コンピューティングを模した演算技術を開発し、シミュレーター方式で最適化の道を探り出すこと。スマート製造やスマート・ロジスティクス(物流)、スマート・ヘルスケア(医療)などの分野で有望だという。そして最後に、量子通信の暗号化技術を開発すること。それにより情報セキュリティー分野での早期展開を図る。