台湾産果物を日本の学校給食で提供することは、日本の若い世代の台湾理解の第一歩となり、台日友好につながると語る農業部の胡忠一政務次長(副大臣)。(写真:農業部)
農業部農糧署は、台湾と日本の食文化および農業分野における交流を促進するため、2019年7月24日に日本の茨城県笠間市と「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結した。それから7年間、茨城県内の各市町村がバナナ、パイナップル、マンゴー、文旦などの果物を台湾から共同購入し、県内の小・中学校の学校給食として提供している。日本の教育現場との協力を通じて、日本の児童・生徒たちに台湾産果物を直接味わってもらうことで、日本の若い世代に台湾農産物、ひいては台湾自体への理解と深めてもらうのが狙いで、将来的には台湾産農産物の消費市場拡大につなげたいと考えている。
今年もこれらの自治体では、パイナップルやマンゴーに続き、締めくくりとして台湾産バナナが学校給食に登場する。今回は水戸市、土浦市、笠間市、那珂市、小美玉市、大子町、東海村など合計18の市町村が共同購入に参加。合計223の小・中学校または給食団体に供給される。台湾産バナナを味わう児童・生徒はおよそ6.8万人に上り、これにより日本へ輸出されるバナナは約10トンに達する。
農業部によると、台湾にとってバナナは重要な輸出農産物の一つで、とりわけ日本は最大の輸出市場となっている。とはいえ、近年は台湾でのバナナの価格高騰や円安、フィリピン産バナナとの価格競争などの影響で輸出量が伸び悩んでいる。台湾産バナナの対日本輸出は2020年の3,050トンをピークに減少に転じ、今年1~9月の輸出量は457トンにとどまる。こうした中でも農業部は、日本の児童・生徒が学校給食という日常の食生活の中で台湾産果物の品質と風味を体験することは、将来の日本市場での需要拡大につなげるための重要な第一歩だと考えている。
農業部は今後も日本の地方自治体や教育機関との協力を一層深め、食農教育の推進とブランドマーケティングを結び付けることで、台湾農産物の日本市場における長期的な発展を目指したいとしている。