経済部がチェコの首都プラハに開設した「プラハ台湾貿易投資センター」にて。(経済部)
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台湾とチェコの民間企業の交流を目的としたランチミーティングで、龔明鑫部長は繰り返し「全の循環」について言及し、チェコの関係者に感謝した。チェコはコロナ禍の2021年、台湾に対して新型コロナウイルスワクチンを無償供与した。また、ビストルチル元老院(上院)議長やアダモヴァ前下院議長が大規模な代表団を率いて台湾を訪問し、台湾への支持を示した。龔明鑫部長自身も今回を含めて4回、経済・貿易訪問団を率いてチェコを訪問しているとして、台湾とチェコの経済・貿易関係が明らかに改善されたことは、すべての関係者の努力の成果だと述べた。
龔明鑫部長は、チェコは現在、台湾にとって中東欧地域で最大の貿易相手国であり、2022年の双方の貿易総額は23.7億米ドルに達し、対前年比94.79%増加という力強い成長を見せたと指摘。投資方面を見ると、2025年10月末時点の台湾の対チェコ投資は累計2.21億米ドルに達し、台湾の対EU投資の中で第8位となっていること、2021年には台湾とチェコを結ぶ直行便の運行が始まったこと、経済部が設立した中東欧諸国への投資を促進するための政府系ファンド「中東欧投資基金」(Central and Eastern Europe Investment Fund)による投資件数は4件、投資額は1960万ユーロに、融資件数は4件、融資額は7516万ユーロに達していること、人材協力においても、チェコにある11の大学(13の専門分野)が台湾と協力しており、チェコの学生85名が「台湾奨学金」を受けて台湾で学んだり、人材育成の訓練を受けているほか、台湾がチェコの半導体企業と協力のメカニズムを構築していることなどを挙げ、台湾とチェコの緊密な関係を強調した。
龔明鑫部長はまた、世界的なムーブメントに対応するため、台湾とチェコは「AI(人工知能)」、「ドローン及び航空宇宙」、「電気自動車」、「レーザー」、「電子顕微鏡」の5つの分野で協力を進めるべきだと主張。AIの進展が、AI及び半導体のサプライチェーンの発展をけん引する中、AIサーバーを生産する鴻海(ホンハイ)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、英業達(インベンテック)などの台湾企業がチェコへの投資を行っているほか、台湾とチェコは半導体関連の人材育成でも協力しており、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)のドイツ工場建設に合わせ、今後さらに産業協力を深めることができるだろうと述べた。また、EU(欧州連合)が「AIギガファクトリー」計画への助成を発表していることに言及し、「EU域内に建設される『AIギガファクトリー』の一つをチェコに誘致するため、台湾はサプライチェーンで持つ強みを活かし、協力できるかもしれない」と語った。
地政学の変化が世界のサプライチェーン再編に影響を与える中、龔明鑫部長は「台湾とチェコはそれぞれ製造業の異なる専門分野で強みを持っている。例えばチェコは自動車や測量分野に強く、台湾はICT分野で卓越している。このため双方は電気自動車、レーザー、電子顕微鏡などのサプライチェーンで相互補完的な役割を果たせるだろう。また、チェコは台湾製ドローンにとって世界第3位の輸出市場となっている。チェコはドローンの先進技術を持ち、ウクライナとも戦略的パートナーシップを築いている。民主主義の国々は無人機産業において「非レッド・サプライチェーン」(中国企業を排除した供給網)を築くことを期待しており、こうした中で台湾とチェコは重要な戦略的協力パートナーとしての関係を深めることができるだろう」などと述べた。
頼清徳総統が掲げる「台湾に立脚し、世界展開を行う」という目標に基づき、経済部は昨年末、プラハに「台湾貿易投資センター」を設置した。これまでに同センターは13件の案件を取り扱い、延べ23社に対して情報提供を行ってきた。主な産業は半導体、電池及びケーブル、ドローン、AI及び航空宇宙などの分野となっている。
龔明鑫部長は今回のチェコ滞在期間中、実際に同センターを訪れ、運営の状況について報告を受けた。そして、同センターがチェコでの投資を希望する台湾企業に対して、ビザ申請、土地取得、税制や電力供給などの方面での実務的なサポートを行っていること、また着実にその成果を上げていることを確認したという。