天主教耶穌会(カトリック・イエズス会)は5月31日、「傑瑞叔叔(ジェリーおじさん)」の愛称で親しまれた米国籍の宣教師、丁松筠(本名:George Gerald Martinson)神父が端午節(旧暦5月5日、今年は新暦5月30日)の四連休中に逝去したことを明らかにした。亡くなった詳しい日時は明らかにされていない。享年75。総統府の黄重諺報道官は同日、丁松筠神父の台湾への貢献は多くの人々が認めるところだとし、その逝去に哀悼の意を表した。また、「神父は台湾で長年にわたり、社会的に弱い人々に手を差し伸べ、英語教育にも力を入れてきた。生前の貢献に心から感謝し、故人をしのびたい」と述べた。
丁松筠神父は1942年に米国で生まれた。高校卒業後、アルバイト先の同僚や同級生が神職として働く道を選んだことに触発され、自身も神父になることを決意。1967年に台湾へやってきて、台湾北部・新竹で中国語を学んだ。その後も台湾に残り、神父として奉仕するかたわら、テレビの英語番組で「ジェリーおじさん(Uncle Jerry)」として出演し、児童の英語学習ブームを作り出した。役者としても活躍し、ドラマやテレビCMなどで明末清初や清朝時代に中国大陸を訪れたアダム・シャールやジュゼッペ・カスティリオーネなどの宣教師役を演じたこともある。また、丁松筠神父が社長と副社長を務めていたイエズス会系のテレビ・ラジオ制作会社、財団法人光啓文教視聴節目服務社(Kuangchi Program Service)は、台湾の各テレビ局で活躍するテレビコンテンツ制作人材を数多く輩出するなど重要な役割を果たしてきた。
番組やドキュメンタリー制作を愛した丁松筠神父は、タイ北部の難民をテーマにしたドキュメンタリー番組『殺戮戦場的辺縁』で、1986年に台湾の映画賞「金馬賞(ゴールデンホース・アワード)最優秀ドキュメンタリー賞」を、1987年にアジア太平洋映画祭「最優秀短編賞」(全編58分)を受賞。中国大陸のキリスト教会の状況を伝えるドキュメンタリー番組『勁草』は、1990年に米ゴールデン・リール賞を受賞している。2015年には内政部(日本の省レベル)から、台湾に貢献のあった外国人宣教師を称える「績優外籍人士」に選ばれている。
内政部移民署は、改正「国籍法」の「特殊な貢献があった外国人」の要件に基づき、丁松筠神父からの国籍申請を受理し、すでに中華民国国籍認定の許可を出していた。台北市民政局は6月1日に行われた丁松筠神父の追悼式で、国籍証明書、中華民国の身分証及び戸籍名簿を遺族に授与し、故人の台湾社会に対する貢献を称えた。
なお、丁松筠神父には弟がおり、中国語名を丁松青と言う。兄と同様、カトリック教の神父で、新竹県五峰郷の先住民族が住む「清泉部落」で奉仕している。どちらもMartinsonという姓をもとに、台湾での姓を「丁」と名乗っていることから、兄は「大丁」、弟は「小丁」と呼ばれている。いずれも実際の行動によって、その一生を台湾に捧げている。