イギリスの建築専門ネットメディア、「World Build 365」がこのほど、「世界で最も設計の優れた5つの橋梁」を発表、台湾の建築家、張哲夫氏が設計した、台湾北部・桃園市にある東和鋼鉄企業株式会社行政センターの渡り廊下が選ばれた。他に選ばれたのは、フランス南部・ミヨー(Millau)のミヨー高架橋、中国大陸・湖南省張家界の大峡谷にかかったガラス橋、同省長沙市の「幸運結人行大橋(ラッキー・ノット・ブリッジ=Lucky Knot bridge)」、そしてイラン・テヘランの人道橋、「Tabiat Pedestrian Brige」。
東和鋼鉄企業株式会社行政センターの渡り廊下は2012年に完成したもので、張哲夫氏にとっては台北都市交通システム(台北メトロ=MRT)大安森林公園駅の設計で、「2015年世界最優秀建築賞(FIABCI World Prix D’excellence Awards、略称FIABCI賞)」を獲得したのに続いて得た国際的な評価となる。
この渡り廊下は工場と行政センターを結ぶもので、張氏は同社で目にした鋼材からインスピレーションを得たという。ある角度からは二つのらせんが組み合わさって橋を支えているのが目にできる。弯曲した鋼鉄は歩道部分を覆い、渡り廊下をトンネルのような空間にしている。
張さんは、巨大な製鉄所が山と海の間にあるわけで、どうしても環境になじまない面があったが、大地に根を下ろしているという建築理念と、迷彩の目くらまし効果で周囲の環境に溶け込ませたと説明。同時に素朴でシンプルな美しさも備えており、産業建築の新たな模範たる設計だとしている。
鋼は鍛えに鍛えられ、幾度もの圧縮と変化を経て、矯正され、形が決まる。その絶え間ない累積が、一種の永遠にとだえることのない力を生み出す。張氏は、このような生命力は無形ながら強大であり、自分はそうした製鋼の精神を建築を通して表現し、建築と、その絶えず積み重ねられて生まれた力が共生、共存し、さらには交流していることを人に感じてもらいたいとしている。張氏はまた、こうした力は製鋼のみならず、建築物が向き合う大自然も備えていると考えている。
台北都市交通システム信義線(レッドライン)にある大安森林公園駅のほか、「ポリス」の光と影による「最も美しいスカイランタン派出所」と呼ばれる新北市警察局瑞芳分局平渓分駐所、さらには高雄都市交通システム(高雄メトロ)の「中央公園駅」、「清水サービスステーション」、「国立台湾美術館」など特色に満ちた建物も張哲夫氏がてがけたものである。張哲夫氏は、国立成功大学(台湾南部・台南市)建築学科卒業、米ニューヨークにあるプラット・インスティテュートの熱帯建築修士で、「国家卓越建設賞」の審査員も務めている。