2025/08/30

Taiwan Today

文化・社会

独立系書店が大団結、小規模ながら魅力たっぷりで観光客呼び込みも

2018/04/24
世界図書・著作権デーの4月23日に合わせ、台湾では100軒あまりの独立系書店が団結して読書の魅力をアピール。また、ブッククロッシングの動きも活発になりつつある。写真は記者会見でのクラウド・ルーさん。(中央社)
世界図書・著作権デーの4月23日に合わせ、台湾では100軒あまりの独立系書店が団結、協力して読書の魅力をアピールしている。「2018年世界閲読日/閲読book思議(世界読書・著作権デー/読書は不思議)」シリーズイベントは23日から5月6日まで。「book思議」は「book」と「不」の発音が似ていることを利用したネーミング。イベントには台湾北部から南部、さらに東側の花蓮と台東、そして離島の書店100軒あまりが参加して、読書に関する講演や朗読会を行っている。
 
イベントのプロモーションキャラクターを務める、男性シンガーソングライターのクラウド・ルー(盧廣仲)さんは23日の記者会見で、23歳まで読書らしい読書はしたことがなく、日本の漫画『ドラゴンボール』とギター教本しか読んだことが無かったと「告白」。しかし、ある時、どっぷりはまり込む本に出会ったことから、本の中の世界は空や海より広いことを知ったと話した。
 
文化部(日本の省レベル)の丁暁菁政務次長(副大臣)は記者会見の席上、独立系書店は各店長が書籍やアイテムを厳選することで多元的な文化を表現するなど、すでに文化のプラットフォームに育っていると指摘。インターネットが文化事業を脅かす時代において、個性は独特のセンスとなり、人の目に触れる確率を高める。丁政務次長は、台湾の独立系書店は各県・市でそれぞれ魅力的な姿を見せており、海外からの観光客も書店めぐりを必要な観光コースとして位置づけていると説明した。
 
台湾北部・新竹県にある「石店子69有機書店」の責任者、盧文鈞さんは、今回の合同イベントは独立系書店にとって大きな一歩で、将来的には150軒まで団結の輪を広げられるとの見方を示した。盧文鈞さんによると、台湾の独立系書店はみな小規模ながら魅力的。また地理的にかなり密集していることで人々を引き付けやすく、その発展ぶりは国際的にも注目されているのだという。
 
明志科技大学(台湾北部・新北市)の図書館で働く林農偉さんはブッククロッシングの団体、iReadingを発起した人物。ブッククロッシングとは、読み終えた本をシェアするシステム。iReadingでは会員が登録した図書データをインターネット上で公開し、読みたい人が送料を負担する、あるいは持っている人に会って受け取ることで会員間での図書の移動を行う。林農偉さんによれば、創設して3年半で、iReadingの会員数は3,600人を超えた。そのうち7割は女性で、図書が移動した回数は延べ8,900回以上だという。
 
ブッククロッシングは図書の移動による流通を行うシステムで、iReadingは台湾で唯一の団体ではない。台湾では各地に設けられた公共の本棚に置かれた本を誰もが自由に持って帰り、読めるようになっているが、林さんは、こうした本棚では提供される図書が少なかったり、あるいは本棚が不要な本を「寄付する」場所になっていたりする状況を目にしてきた。このため林さんがiReadingを創設した理念は、新しい書籍を流通させることで、既存のブッククロッシングと差別化することだった。
 
新たな書籍の提供を促すため、林さんはまず自分で本を購入、すでに600冊以上をiReadingに登録している。iReadingではコミュニティの特性が発揮されている。同システムによる会員の読書記録は完全に公開され、本を選ぶのが面倒な人は特定の会員の読書記録をフォローし、同会員の選定を信頼して読んでいくことも可能。また、個々の図書の移動記録、会員が何度本を移動させたか、何度本を受け取ったかなども公開される。
 
林さんは、「人は自分で買った本でも読むとは限らないが、ブッククロッシングで本を手にした人は通常それを読んでいる。そしてこれには早く読もうという『幸せの負担』がある。早く読み終えて手放すため、読書がパソコンや携帯電話をいじることと時間を取り合うことになる。それによって本の回転率が高まるんだ」と話している。さらにiReadingのフェイスブックでは、会員が読後の感想を書き込むことが出来、中には本に自分なりの書評を付け加えて次の人に回す会員もいるという。「次の読者を探すため、一人ひとりが手元にある本のプロモーションを自発的に行う。これはまさに本のための広告だ」と林さんは語る。
 
これまでで移動回数が最も多かった本はアン・タイラーの『歳月のはしご』で延べ31回移動した。また、順番を待つ人が最も多いのはシェリー・カガンの『Death』で、20人が待機中。林さんによれば、ブッククロッシングに加わる人は元々本を買わない人。そして本を買うのが好きな人。本を買う人でも一人ひとりの予算には限りがあるため、自分では買わない本、例えば辞典などの参考図書や小説、あまり知らない分野の本を求めるという。ブッククロッシングに参加することで、読書の機会が増える他、読書の範囲も広がることになる。
 
iReadingも今回の「2018年世界読書・著作権デー/読書は不思議」シリーズイベントに合わせ、本の移動回数延べ1万回を目指して4月28日に台湾北部・台北市の「四四南村」で、市内にある独立系書店の「旅人書房」、並びに紙を使った手工芸品と共に野外バザーを開催する。バザーでは人々が自分の本を持ち寄り、ブッククロッシングに加わるよう呼びかけることにしている。
 
 

ランキング

新着