2025/09/08

Taiwan Today

文化・社会

「小智研発」の「TRASHPRESSO」、ロンドンのデザイン賞にノミネート

2018/10/08
台湾の建築家が創設した「小智研発」が移動型のペットボトル再利用設備を開発。ロンドンのデザイン・ミュージアムによる「デザインズ・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされた。写真は回収されたペットボトルから作られる六角形のタイル。(TRASHPRESSOサイトより)
台湾の建築家、黄謙智(ARTHUR HUANG)さんは環境保護を意識した建築に取り組んでいる。黄さんが創設した「小智研発(Miniwiz Co.,Ltd.)」はゴミの再利用で、ペットボトルをタイルに生まれ変わらせる「TRASHPRESSO」を開発。この「TRASHPRESSO」が今年、英国ロンドンのデザイン・ミュージアムによる「ビーズリー・デザインズ・オブ・ザ・イヤー(Beazley Designs of the Year)」にノミネートされた。
 
「ビーズリー・デザインズ・オブ・ザ・イヤー」は今年で11年目。9月11日に発表されたノミネート作品は87点で、建築、デジタル、ファッション、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、輸送の6大部門に分かれている。ノミネートされた作品は9月11日から来年1月6日まで同ミュージアムで展示されている。受賞作品の発表は11月15日。
 
今年40歳の黄謙智さんは2005年に「小智研発」を創設、環境保護のための建材や低炭素消費財の開発に努め、「ゴミを黄金に変える」ことに取り組んできた。2012年には米国ニューヨークの「傑出した創業者(Mayor Bloomberg's New York Venture Fellowship)」に選ばれた他、2015年には世界経済フォーラム(WEF)からも「科学技術イノベーションパイオニア賞(Technology Pioneer)」を受けた。
 
2010年に「台北国際花の博覧会」のために「遠東環生方舟館(エコアーク=トレンド館)」を設計した際には、回収されたペットボトル152万個から48万個の「ペットボトルブロック」を作り出し、9階建ての建物の主な建材にした。
 
「小智研発」による「TRASHPRESSO」は「ビーズリー・デザインズ・オブ・ザ・イヤー」プロダクトデザイン部門にノミネート。「TRASHPRESSO」は世界初の移動式ゴミリサイクルステーションで、ゴミ(trash)とエスプレッソ(espresso)から命名。移動に便利でオートメーション、太陽光パネルで自家発電する工業レベルのゴミリサイクルステーションであり、ゴミ問題の解決をさらに一歩進めるもの。
 
「TRASHPRESSO」は40フィートのコンテナに取り付けられており、搬送に便利な他、外部電源を必要としない。回収されたペットボトルは洗浄、粉砕、異物の除去、成形を経ることで、六角形で美しく、実用的なタイルに生まれ変わる。また、使用された水は製造過程で再利用され、捨てられることは無い。ペットボトル5本でタイル1個、ペットボトルのキャップとリング50個でもタイル1個が作り出せる。わずか1時間で50㎏のゴミの再利用が可能になる。
 
黄謙智さんは今回のノミネートについて、環境保護分野で台湾には多くの手本があるにもかかわらずまだあまり知られていないと指摘、「小智研発」が持つ力の一つは、台湾のパワーを全世界に示すことだと強調した。
 
 

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