台湾の新鋭映画監督、楊婕(Chieh Yang)さんが自身の経験を題材にして台湾の旧暦大晦日における一家団欒の物語を描いた短編映画『年尾巴(Tail End of the Year)』が4日(米東部時間)、全米監督協会(DGA)による学生映画賞(2018 Student Film Award)を受賞した。
29歳の楊婕さんは台湾の著名な映画監督、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)氏が創設した「金馬電影学院(Golden Horse Film Academy)」の学生。『年尾巴』はニューヨークのコロンビア大学芸術学部における楊さんの映画監督修士課程の修了制作で、今年6月にも米国映画批評会議(NBR)の学生栄誉賞(NBR Student Grant)を受けている。今回はそれに続いて、全米監督協会がマイノリティと女子学生の優秀な作品を表彰する学生映画賞を獲得したことになる。
『年尾巴』は公共電視(PTS)のオリジナル映画。1988年の旧暦大晦日、「眷村」のある家庭を背景に、10歳の女の子、楊嵐ちゃんが歌手である母親の帰宅を待つ物語。「眷村」は1949年以降、国民政府と共に中国大陸から台湾に渡って来た人たちが共に暮らした集落のこと。『年尾巴』は「1年の最後」という意味に加え、「子どもとしての時代の終わり」も意味している。楊さんはこの映画を通じて、家族への愛を伝えようとした。
楊さんはこの作品を撮った動機について、「大晦日は自分にとって1年で最も幻想的な夜だった。古い年が死んで新しい年が生まれる。この生死の境目に自分は小さい頃からあこがれた。でもある日、もう家族が一緒に年を越すことはなくなったことに気付いた。年越し料理はレストランで食べるようになり、旧正月休みは海外旅行に出かける。爆竹を売る店も見つからなくなった。私はそこで、自分が子どもだった時代がはるか遠くのものになったと知った」と話している。
全米監督協会の学生映画賞は1995年に始まり、今年で24回目。毎年、米国の映画関連学科で学ぶアフリカ系、アジア系、ラテン系、女性の学生による作品を表彰している。楊婕さんは米国東部のアジア系学生に与えられる賞を受けた。授賞式は7日夜(現地時間)にニューヨークのDGAニューヨークシアターで行われる。
ハリウッドの著名な映画監督の多くがこの賞を受けている。今年評判となった『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウ監督(華僑)、並びに『ブラックパンサー』のライアン・クーグラー監督も受賞経験者である。