蘇鈺婷(Angel Su)さんと陳育青(Mimi Chen)さんの女性映画監督2人が手掛けたドキュメンタリー映画『祝我好好孕(Our Happy Birthday)』が、今年6月6日の一般公開を目指し、クラウドファンディングによる資金募集を行っている。
この映画は、台湾の女性2人の妊娠と出産の過程を追ったドキュメンタリー。韓国・釜山で昨年10月に開催された釜山国際映画祭で初上映された。登場する女性2人の妊娠・出産の過程は全く異なる。1人の女性は胎位異常だったが、帝王切開で出産することを拒否。自然分娩で新たな家族を迎えることにこだわった。もう1人の女性は自宅での出産を選択。助産師の助けを借りて順調にお産を乗り越えたが、数か月後、赤ちゃんを病気で亡くしてしまう。女性は悲しみを乗り越え、ほかの妊婦の出産をサポートするボランティアに加わる。
これまで、いくつかの映画館で試写会を行ってきた。映画の中には水中出産のシーンも含まれている。観客の反響は2人の監督の想像を超えるもので、感動で涙を流す新婚夫婦もいれば、出産に対して持っていた恐怖心が一掃されたと話す若い母親もいた。また、映画を見た男性の多くからは、「分娩台に対する恐怖心が薄れた。妻の出産に立ち会い、人生で最も美しい瞬間をしっかりと見守る決意が出来た」などの声が聞かれた。
映画『祝我好好孕』は、新北市(台湾北部)が実施する「新北市紀録片奨(=新北市ドキュメンタリー賞)」の経費助成を受けて作った短編映画『祝我好孕(Happy Birthday)』をベースにしたもの。この短編映画は、台湾国際女性影展(Women Make Waves Film Festival, Taiwan)で「銀奨」を、香港の華語紀録片電影節(=中国語ドキュメンタリー映画フェスティバル)でも最佳短片金奨(=最優秀短編映画賞)を受賞するなど、各方面から高い評価を得た。このため2人の監督は、短編をベースにより長い作品を作ることを決めた。
蘇鈺婷さんと陳育青さんは、台湾の女性2人の妊娠・出産の過程を描くと同時に、5年の歳月をかけて多くの女性たちの出産経験や出産に対する考え方などを取材。各家庭が抱える出産や子女の教育など重大な課題についても目を向けている。
監督の1人である蘇鈺婷さんはこの映画を通して、台湾社会が抱える、出産に対する無理解から生まれる恐怖心を解消し、出産に対して多様な選択肢を持ち、それを台湾で実践してくれるよう願っている。「出産を女性だけのことではなく、家族全員のことととらえて欲しい」と語る。蘇鈺婷さんと陳育青さんは、この映画を通して台湾の女性たちが将来、「笑って子どもを産める」ようになることを願っている。
2人は現在、映画『祝我好好孕』の台湾公開(6月6日を予定)を目指し、クラウドファンディング「台湾囡仔順産計画」を実施し、資金募集を行っている。