2026/05/25

Taiwan Today

文化・社会

『源氏物語』の翻訳者、林文月さんに「文学星雲貢献奨」

2019/10/25
公益信託星雲大師教育基金は21日、第9回「全球華文文学星雲奨(=賞)」の受賞者を発表した。写真は「貢献奨」が贈られることが決まった作家の林文月さん。日本の古典文学『源氏物語』を中国語に翻訳したことでも知られる。(公益信託星雲大師教育基金提供、中央社)
宗教団体の佛光山に所属する公益信託星雲大師教育基金は21日、第9回「全球華文文学星雲奨(=賞)」の受賞者を発表した。中国語で書かれた文学作品を対象としたもので、今年は25作品が「創作奨」を受賞した。また、歴史長編小説に取り組む作家を対象とする助成プログラムには作家2名が採用された。さらに、今年の「貢献奨」は日本の古典文学『源氏物語』を中国語に翻訳したことでも知られる作家の林文月さんに贈られることが決まった。
 
林文月さんは現代の台湾文壇を代表する随筆家。1933年に生まれ、文学作品の創作、翻訳、研究に取り組んできた。そのいずれも、アジア太平洋地域で高い評価を得ている。中国の六朝時代の文学を主な研究対象とし、日本と中国の比較文学にも取り組んだ。日本の古典文学である『枕草子』、『和泉式部日記』、『源氏物語』などを中国語に翻訳し、台湾に紹介したことでも知られる。
 
1969年から1970年ごろ、『京都一年』と題するシリーズで随筆の執筆を開始した。それ以来、「時報文学奨」、「国家文芸奨」、「台北文学奨」などを相次いで受賞している。その文体は「質素ながら豊かで、地味ながら華やか」であると評価されたこともある。
 
今回の「全球華文文学星雲奨」の「創作奨」には、歴史小説、報道文学、仏教エッセイ、禅詩の4つの部門が用意された。また、歴史小説への取り組みを奨励するため、歴史小説部門は長編部門と短編小説部門の2つに分けられ、さらにこれとは別に、歴史長編小説に取り組む作家を対象とする助成プログラムも設けられた。
 
今年の「創作奨」は、2つの賞をダブル受賞した作家が2人出た。一人は張英珉さん。「長編歴史小説部門」で2等賞、「短編歴史小説部門」で1等賞を獲得した。もう1人は葉琮さんで、「短編歴史小説部門」で2等賞、「禅詩部門」で佳作を獲得した。
 
なお、「長編歴史小説部門」の1等賞は「該当者なし」となった。2等賞に選ばれた張英珉さんの作品『Rio Douro』は、台湾東部・花蓮県を流れる立霧渓(=河川)で行われていた砂金採りの歴史を主軸にしたもので、オランダ、日本、そして現代に至る3つの時代にまたがるストーリーを描いた。文化、歴史、自然科学、地理などの事実に基づいた考察で、複雑な背景の中にも筋の通った内容となっており、叙事詩の色彩を持った作品である。
 
「短編歴史小説部門」で1等賞を獲得した張英珉さんの作品『馬馬的山丘』は、台湾北部・新竹に住む先住民族、タオカス族の集落「眩眩社」を舞台にした物語だ。台湾におけるエスニックグループ同士の対立と融合を描き、失われた歴史を再現したものとなっている。
 
歴史長編小説に取り組む作家を対象とする助成プログラムには、作家の鍾文音さんと栄栄さんが採用された。鍾文音さんの作品は『雲遊僧與甲木薩』と題するもので、漢民族とチベット民族の文化の融合を描いた作品。『西遊記』にも登場する唐の時代の高僧、三蔵法師と唐の皇女で吐蕃のソンツェン・ガンポ王の第2皇后となった文成公主を主役に、文成公主が仏道を求めると過程を描いた。栄栄さんの作品のタイトルは『于闐太子』で、シルクロードの一つである西域南道沿いにあった仏教王国「ホータン王国」の皇子を中心に、西域における仏教の盛衰を描くというもの。
 
「報道文学部門」では作家の古雯さんの作品『找尋埋伏在高雄地下的幽魂』が一等賞に選ばれた。第一線で働く消防隊員の視線から、2014年に発生した高雄ガス爆発事故の現場を描いたもので、工業都市の利益と弊害のアンバランスに切り込んだ。
 
「仏教散文部門」と「禅詩部門」は、それぞれ8名が受賞した。そのうち「仏教散文部門」の1等賞は秦就さんの『看藍』、「禅詩部門」の1等賞は荘祖邦さんの『過站』だった。
 
なお、「禅詩部門」で1等賞を獲得した荘祖邦さん、「報道文学部門」で3等賞を獲得した許裕文さんはいずれもマレーシアの作家。マレーシアの中国語文学の作家がこの文学賞を受賞するのは、これで3回目のこと。
 
公益信託星雲大師教育基金は12月14日午後、台湾南部・高雄市にある佛光山で第9回「全球華文文学星雲奨」の授賞式を開催する。
 

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