2026/04/02

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文化・社会

「10億人以上の健康守る」、N95マスクの生みの親は台湾出身

2020/04/07
新型コロナウイルスの世界的な拡大が続く中、感染予防に有効であることから注目を集めるN95マスクの発明者は台湾出身。その技術はこれまでに10億人の健康を守ったとも。写真は台湾区不織布同業公会のフェイスブックで、写真の人物がN95マスクの技術を開発した蔡秉燚氏。(台湾区不織布同業公会のフェイスブックから)
米国の化学・電気素材メーカー、3Mが米国政府によるN95マスクの強制的な買い上げを拒否したとされることが話題となり、 感染症防止に効果的な微粒子用マスクのN95マスクが改めて注目されている。台湾区不織布工業同業公会(台湾不織布工業同業組合)はこれを受けて7日、公式ウェブサイトで同マスクの発明者が台湾出身の蔡秉燚(Peter Tsai)氏であることを紹介した。
 
N95マスクの「N」は「not resistant to oil」(耐油性は無い)ことを意味している。しかし、その濾過効果は抜群で、インフルエンザウイルス、粉塵、花粉、煙霧、及び煙と埃などの微粒子を「95」%捕集するとされる。同マスクがウイルスや粉塵を取り除ける秘密は、フィルター中間層の「静電熔噴布」(帯電メルトブロー不織布)にある。「熔噴布」(メルトブロー不織布)はその製造過程において繊維を極細にすることで微小な穴を作り出し、粉塵と粒子状物質などの捕集を可能にする。そしてそれをさらにエレクトレット(電石)化して帯電。すると病原菌がフィルターの上層を通過して中間層まで来た時に静電気がその全てを吸着することとなる。これこそが「静電熔噴布」が「マスクの心臓」とされる所以。
 
蔡秉燚氏とその研究チームは30年前に「静電熔噴布」を開発した。蔡氏は大量の素材から最適なものを探し出し、メルトブローの技術を高めることでその発展を推し進めた。メルトブローとは、熱可塑性プラスチック樹脂を高速高温の気流で吹き出し、自己接着性の網を作り出す技術。現在の産業界ではその成熟した技術を直接利用し、高速高温の気流で樹脂を極細の繊維に加工出来るようになっている。
 
さらに電界を利用して中性の空気中に電気解離を発生させ、逆の電荷を帯びたイオンと電子を生み出した。それによって不織布の繊維が帯電することになる。こうしてエレクトレット化された繊維はマスクを通り抜けようとする様々な微粒子物質を吸着するのだという。
 
蔡秉燚氏は米テネシー大学(ノックスビルの旗艦校)の材料工学科に35年間勤務してすでに定年退職している。同校のMaha Krishnamurthy副学長は蔡氏について、「(蔡秉燚氏は)我が校の研究者たちがいかにして科学研究と産業界を結びつけたか、どのようにしてイノベイティブな製品を市場に送り出し、巨大な影響をもたらしたかを証明した。研究面で彼が果たした功績、ならびに研究成果を産業化するというその情熱と行動力に感謝する」と述べた。
 
一部では、蔡秉燚氏の発明した技術によって健康が守られた人、健康状態が改善した人は10億人を超えると試算されている。
 
 

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