世界初の24時間営業の書店として人気だった誠品書店(Eslite Bookstore)敦南店(台湾北部・台北市)は5月末で閉店する。閉店まで1カ月あまりとなった23日、同書店を経営する誠品股份有限公司が新たに24時間営業を始める店舗を発表した。世界読書デー(世界図書・著作権デー)の23日に開かれたこの記者会見で、誠品股份有限公司の呉旻潔董事長(会長)は、同書店の信義店(台北市)3階を24時間営業とすることで、敦南店と継ぎ目のない24時間営業の継続を宣言した。
呉董事長によると、信義店のテーマは「多次元空間を共に見よう」で、24時間営業のフロアでは敦南店の1.8倍に相当する17万冊以上の書籍を用意する。フロア面積も敦南店の2.5倍となる1,100坪。ここにはまた台湾でここだけという24時間営業のレコードショップ、ならびに24時間営業のスーパーマーケットが併設される。さらに深夜でもコーヒーやカクテルが楽しめるようにし、「生活及び昼夜を問わない読書の博物館」として5月29日に試験営業を始めるという。
新たな24時間営業店舗をどこにするかについては内部で激論が交わされた。呉董事長によれば、南西店と信義店が候補となり、この2店舗は同時に必要な改装工事にとりかかった。南西店は「温かな空間」としてコーヒーショップなどが必要だった。一方、信義店でも改装が進められたが、最終的に信義店が選ばれたカギは「想像可能な空間の大きさ」で、次の20年間に生まれるであろう可能性が南西店より多元的だと判断された。
信義店が新たな24時間営業店舗に選ばれた具体的な要因は交通、面積、業態、コンテンツの4つ。信義店は地理的な位置や駐車可能台数、最寄りの台北メトロの駅の面で優れている。また、1,100坪と広く、訪れる人に圧迫感を与えない。さらに業態とコンテンツにもさまざまな想像空間と実践の可能性があるという。
一方、5月いっぱいで敦南店が閉店することについて呉旻潔董事長は涙ぐみながら、小さい時には「父は、私の先生までやって来る本屋を作った」と鼻が高かったと振り返った。呉董事長はまた、『星の王子さま』の中で主人公が一生愛したバラに例えて、「敦南店は全ての人々の心にあるバラ」で、共に持ち続けることが出来るものだと述べた。呉董事長にとって敦南店は「どうしても別れを告げられない場所」であり、気持ちが乱れるのを恐れて最近では行くことさえ出来ないという。呉董事長はしかし、「誠品書店がある限り台湾で24時間営業の書店は無くならない。このことに疑問の余地はなく、それは社会に対する誠品書店の約束だ」と強調した。