夏休みが残りわずかとなる中、国立故宮博物院がデジタル技術を利用した展示会「藝想獣譜-故宮×新竹241新媒体藝術展」を開いている。台湾北部・新竹市にある新竹241アートギャラリー(新竹241藝術空間)で11月8日まで。
同展示会は故宮博物院の収蔵する絵画に描かれた動物を、芸術、科学技術、自然といった現代の視点を通じて動物の形態、歴史、生態上の記録と伝承を読み解き対比しようとするもので、ニューメディアアートによってそれを表現する。そしてさらに新竹市立動物園の動物たちも加え、過去と現在、虚と実を融合した大型のデジタル動物園を創り上げているという。
会場に入ると、まず目に入るのは博物学の角度から見た「獣譜」(動物図鑑)の廊下。そして見逃すことが出来ないのは、米国で開かれた第53回ワールドフェスト・ヒューストン国際映画祭のニューメディア-インタラクティブ児童部門で金賞を受賞した「海錯奇珍-没入型インタラクティブ劇場」。今回は会場である新竹241アートギャラリーに合わせて特別に「古水族天幕」を制作。円形に設置された透明のスクリーンに、故宮博物院の収蔵する「海珍図」や「海怪図」で描かれた動物たちを映し出し、当時の水生動物と想像上の海の生物を集結させる。入場者は暗く神秘的な海の中にいるような気分で、生命力に満ちた海底の世界を感じることが出来る。
このほか、VR技術を利用した「坤輿藝境」は今回初公開でオンライン予約が必要。清の時代に中国を訪れて布教活動を行ったベルギーの宣教師フェルディナント・フェルビースト(中国語名:南懐仁)と共に時空を超え、17世紀の大冒険を体験出来るのだという。
会場では新型コロナウイルスの防疫政策に合わせ、額式体温計による検温ならびに入場者の流れの管理を実施する。また、VR体験には感染防止用の使い捨てフェイスマスクや紫外線を使用した消毒などで対応する。故宮博物院では、この期間限定の「幻想的な動物園」に、安心して来場してほしいと話している。