台南市美術館は25日、日本統治時代に活躍した台湾人画家・陳澄波の孫で、陳澄波文化基金会の董事長を務める陳立栢氏から、陳澄波の作品で、文化部によって「重要古物」に指定されている『清流』の寄贈を受けた。
式典に出席した台南市の黄偉哲市長は、陳澄波文化基金会がこれまで作品を手厚く管理してきたこと、各方面の努力によって、文化部が「重要古物」に指定するこの作品が台南に留まれるようになったことに感謝した。そして、台南市美術館及び台南市による最大限の努力によって、この作品を永久保存していきたいと述べた。
陳澄波は台湾美術の先駆者として知られる。1926年に油絵で日本の「帝国美術院展覧会」(いわゆる帝展)に入選した台湾人第1号となった。早い段階で日本へ渡り、芸術の才能を開花させた。この作品『清流』は中国・杭州の西湖で創作したもの。西湖十景の一つで、雪見の名所とされる「断橋残雪」を描いた。
陳澄波は1929年、上海で開かれた第1回「全国美術展覧会」の審査員に選ばれ、この作品を展示した。この作品は同じ年、台湾で開かれた第3回「台湾美術展覧会」(いわゆる台展)でも入選している。
1947年に発生した二・二八事件で、陳澄波は住民の代表として軍との交渉を担った。しかし、軍にとらえられ嘉義駅前で銃殺された。陳澄波は遺書の中で、この作品は家族が保管して欲しいと書き記していた。数多くの作品を残した陳澄波が唯一、遺書の中で言及したのがこの『清流』だった。このことからも、この作品が陳澄波にとって大きな意義を持つものであったことが分かる。文化部は昨年、この作品が20世紀前半の台湾絵画の先駆の典範であるとして「重要古物」に指定した。