台南市新市区の南部科学園区(南部サイエンスパーク)内にある国立台湾史前文化博物館南科考古館で22日より、シラヤ族の歴史を取り上げた特別展「千年俯瞰400:走向西拉雅族的原住民考古」が始まった。大きく5つのエリアに分けて、発掘調査で明らかになったシラヤ族の1,000年の歴史を振り返る。開催は2025年3月2日まで。
シラヤ族はかつて台湾南部の平地に多く住んでいた「平埔族」(平地先住民族)の一つ。漢民族が中国大陸から台湾へ移住するようになると、次第に漢民族文化に同化。その文化は失われていったと言われていた。しかし、近年台南を中心に、シラヤ族の言語や文化の復興が進んでいる。
22日に行われた開幕式に出席した文化部の陳登欽主任秘書は、国立成功大学(台南市)の関連の学科の協力と、いまもシラヤ族の伝統や文化を伝える吉貝耍(台南市東山区東河里)、蕭壠社のシラヤ族の末裔たちの参与によって、この特別展が開催されたことを喜んだ。そして、シラヤ族の人々によって、祖先がこの土地で暮らしていたときの光景や文化の軌跡を伝えることは、「台湾文化日(10月17日)」に呼応するという意味もあり、「新世代の台湾の歴史と文化を世界に伝えよう」と呼びかけた。
また、国立台湾史前文化博物館の蔡政良館長は、オーストロネシア語族には「過去を振り返り、そして現在を見つめ、再び一緒に前へ踏み出そう」という言葉があると紹介した上で、今回の特別展はシラヤ族の人々の途切れることのない歴史と文化を振り返るものであり、国立台湾史前文化博物館は社会参与という役割をこれからも演じ、一般大衆にこの土地の文化を伝承することの意義を理解してもらえるよう取り組んでいきたいと語った。
この特別展は「走向西拉雅」、「重返蕭壠」、「堆疊千年」、「祖先智慧」、「綿延千年」の5つの展示エリアから構成され、シラヤ族に関する発掘調査の成果と結び付け、台南の土地で発生した1,000年前の物語を伝える。展示会場に入って観客が目にするのは、台湾に上陸したオランダ人の活動をシラヤ族の視点から眺められる地図で、台湾の歴史を振り返ることができる。
国立台湾史前文化博物館南科考古館は「シラヤ族の末裔が証言しているように、シラヤ族は昔から台南に住んでいた。考古学的発掘調査でも、シラヤ族は少なくとも400年以上前から台南に住んでいたことが証明されている。さまざまな政権による統治を受けるにつれ、シラヤ族の文化には大きな変化が生じた。しかし、シラヤ族は依然として存在しており、消失したわけではないのだ」とコメントしている。
特別店『千年俯瞰400:走向西拉雅族的原住民考古』
開催期間:2025年3月2日まで。火曜~日曜09:00-17:00(月曜休館)
開催場所:国立台湾史前文化博物館南科考古館2階「特展庁」(台南市新市区南科三路10号)