大阪の夢洲では現在、大阪・関西万博が開催されている。台湾は博覧会国際事務局(BIE)の加盟国ではないため、「台湾」名義で万博に参加することができない。このため台湾は、経済部の外郭団体である中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は台湾貿易センター)が100%出資する民間企業、玉山デジタルテック株式会社の名義で万博会場内に「TECH WORLD(テックワールド)パビリオン」を設置。スマートテクノロジーやデジタル技術の応用などを駆使して、台湾が持つ多様性や寛容性といった価値観を伝えている。
これとは別に、文化部は大阪市内の各所で台湾の芸術や文化を発信するイベント「We TAIWAN 台湾文化in大阪・関西万博」を開催している。音楽ライブ、人形劇といったパフォーマンス、没入型の展示を通じ、台湾の最新技術や文学、伝統などを伝えており、「万博外の台湾パビリオン」とも称されている。
これをさらに後押ししたのが中華文化総会が主催する台湾カルチャーの祭典「TAIWAN PLUS 2025 台日新風」だ。「We TAIWAN 台湾文化in大阪・関西万博」との相乗効果で、台湾の文化を日本の人々に強くアピールするのに成功した。WEEK2の2日間は、気温が35度に達する猛暑の中での開催となったものの、会場となった大阪市中之島公園は人通りが絶えることなく、熱気に包まれた。
どのブースの売り上げも好調で、4日間で台湾ビール(缶入り)の売り上げは2000本以上、「五燈獎魯肉飯」の屋台では白米ベースで約200キロの商品を販売した。柯亜ジャム(Keya Jam)は用意していた80キロ近いジャムが完売し、台湾甜商店は一日の売上げが約80万円に達した。「鶏排」(台湾フライドチキン)の屋台は、開店直後から常に10人以上が並ぶ人気ぶりだったが、夜になるほど行列がさらに伸び、日本の人々の台湾グルメへの熱狂ぶりが示された。
会場を訪れた文化部の王時思政務次長(=副大臣)は、「商品が完売したブースも多かったが、一番うれしく、また最も重要だと思ったのは、日本の人々に台湾の文化を深いところから、そしてさまざまな角度から知ってもらえたことだ。芸術、映画、文学、日常生活、さらにはグルなどによって、比較的完全な『台湾』の姿を構築することができた。これこそ台湾が本当に伝えたかったものだ。真実の姿で世界と交流し、ありのままの台湾を知ってもらいたい」と語った。
また、中華文化総会によると会場には、かつて京都橘高校吹奏学部を率いて台湾を訪問し、台湾に「オレンジの悪魔」旋風を巻き起こした梅本裕顧問(京都橘大学名誉教授)や、台湾で活躍する日本人ユーチューバーの阿部マリアさん(元AKB)の姿もあったという。