2025/09/08

Taiwan Today

文化・社会

文化部主催「We TAIWAN」夢洲プログラム『廟前の感謝の舞台』が終了、来年台湾で開催の可能性も

2025/08/29
大阪・関西万博の夢洲「ポップアップステージ北」で行われていた『廟前の感謝の舞台』が28日、3日間の公演を終えた。文化部の李遠部長(文化相)は、行政院(内閣)から予算確保の理解を得られたとして、来年台湾でも「We TAIWAN」のプログラムを上演できる可能性があると明らかにした。(文化部)
大阪・関西万博の公式プログラムとして採用された文化部主催 「We TAIWAN 台湾文化 in 大阪・関西万博」のステージパフォーマンス『廟前の感謝の舞台』が28日、夢洲「ポップアップステージ北」で3日間の公演を終えた。開演前から長蛇の列ができるなど、会場は観客の熱気に包まれた。現地で鑑賞した日本人の観客はもとより、文化部が実施したフェイスブックでのライブ配信でも台湾の視聴者から「素晴らしい演出だ!ライブ配信で見ても鳥肌が立つほど感動した」といったコメントが寄せられた。文化部の李遠部長(文化相)は、行政院(内閣)から予算確保の理解を得られたとして、来年台湾でも「We TAIWAN」のプログラムを上演できる可能性があると明らかにした。
 
「廟前の感謝の舞台」は台湾の9組の団体により、6つの演目で構成されるステージパフォーマンス。最終日となった28日の公演は、観客との一体感がより一層高まった。芸術監督を務めた国立中山大学劇場芸術学系副教授の杜思慧氏によると、「夢洲のステージには、世界各地の観客がやってくる。このため言語以上に、音や声、歌唱などが観客の共感と注目を最も速やかに集めると考えた。そこで台湾各地の『音声』を集めるというコンセプトで、『島嶼之声』と名付けた企画が生まれた」と説明する。実際、28日に行われた公演でも、セリフや歌声など「人の声」を中心としたパフォーマンスが3つ披露されたが、言葉の意味が分からなくても、観客が瞬時に歌声に引き込まれ、思考や感動、喜びを共有する場面が見られた。
 
しかし、最終日の公演ではハプニングもあった。万博関係者が開演前にやってきて、「圧力があった」ことを理由に、舞台背景に描かれていた中華民国国旗をあしらった熱気球の絵を覆い隠すよう求めてきたのだ。文化部は粘り強く交渉を続け、かつ強い遺憾の意を示したものの、最終的に「文化部が自ら対処する」ことで合意に至った。そして、最終公演では、「大神尪:神将が島を護る巡行」の演目で登場するはずの「電気神将」の「千里眼」と「順風耳」の2体をステージの上に「静態展示」するという方法で、舞台背景に描かれた国旗の熱気球を覆い隠すことに決めた。出演する9組の団体にも事前にこの残念な消息が知らされたが、希望児童合唱団をはじめとする出演者たちは、より力強い歌声で台湾の声を響かせ、この圧力を跳ね返した。「大神尪:神将が島を護る巡行」の演目を担当した不二撃聲音製造所(Uni Percussion)の音楽監督・薛詠之氏は「今日は『電気神将』と一緒にパフォーマンスをすることができなかったが、その分、自分の演奏に全力を込めた」と語った。
 
文化部の王時思政務次長(=副大臣)はこの事件を受けて、「国際社会で台湾がおかれている境遇を改めて思い知らされると同時に、『台湾』という名前で世界に出ていくことがいかに難しいことかが示された。しかし、この1か月近くにわたり、大阪の市街地や夢洲(大阪・関西万博会場)、それにオンラインなどで「台湾」の名前を響き渡らせることができた。これは消し去ることのできない事実だ」と胸を張った。そして、台湾がおかれている境遇については「皆で団結し、一緒に克服していきたい」と述べ、そのために文化部もあらゆる手段を尽くして台湾を世界へ導き、台湾の多様性や、民主主義と自由のために台湾が守ろうとしている価値観などを世界に示し、理解してもらえるよう努力していくことを約束した。
 
3日間にわたる夢洲プログラムの公演が終わり、約1か月にわたる大阪での「We TAIWAN」の活動が一区切りを迎えた。文化部の李遠部長はこれを受けて、大阪に行くことができなかった人々にも「We TAIWAN」の公演を鑑賞する機会を提供するため、来年台湾で「We TAIWAN」の公演を開催する予定であることを明らかにした。また、そのために行政院から予算確保の理解を得たと説明。台湾から世界に向けて、誇りをもって「私たちの台湾」と叫び続けようと呼びかけた。
 

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