2025/09/26

Taiwan Today

文化・社会

小説『炒飯狙撃手』作者の張國立さん、東京の書店で日本の文芸評論家と対談

2025/09/23
『炒飯狙撃手』が日本でも出版されている台湾の作家、張國立さん(中央)が21日、日本の東京都内の書店で日本の文芸評論家、杉江松恋さん(左)と対談した。ユーモア溢れる張さんの語りに、会場では笑いが絶えず巻き起こった。(文化部)
『炒飯狙撃手』が日本でも出版されている台湾の作家、張國立さんが21日、日本の東京都内の書店で日本の文芸評論家、杉江松恋さんと対談した。これは台湾文化部の駐日台湾文化センターと日本の紀伊國屋書店が共同で企画したトークイベント。

張國立さんは大学では日本語学科で学び、その後出版社での編集などを経て、歴史、軍事、スポーツ、美食などさまざまな分野をテーマに60作近くの作品を世に送り出している。『炒飯狙撃手』は実際に起こった選挙戦をめぐる銃撃事件を題材に、ミステリー、諜報活動、美食を組み合わせた作品で、各国語に翻訳されている。

張さんはユーモアたっぷりに杉江さんと語り、会場では笑いが絶えなかった。杉江さんが、小説を書き始めるきっかけを尋ねると、張さんは早くに他界した父から名探偵シャーロック・ホームズの本とアダム・スミスの『国富論』という二冊の本を譲り受けたことに触れ、ホームズを読むのはとても楽しかったが、『国富論』はついぞ一ページも読むことがなく、それを母親に言うと、実はその父も生前には『国富論』を読んだことはなく、単に息子にこれを読むよう託しただけということが判明し、その瞬間小説を書くことは運命だったと感じたと語った。

なぜ食べ物をミステリーに取り入れたのかという問いに、張さんは、台湾人はあいさつにも「ご飯食べた?」というフレーズを使うことからも、食べることが大好きだという性質を反映していると指摘し、このような特質から主人公の性格を描きたいと考えて、この小説のために調理師免許まで取得したと明かした。現場で好きなメニューを尋ねられると、きっぱり「炒飯(チャーハン)」と答え会場は爆笑に包まれた。

また、張さんは好きな日本の作家について芥川龍之介と三島由紀夫と答え、芥川は大学の論文のテーマとして取り上げ、三島は「美」に対するその執着に心から敬服すると述べた。また、小説とは単に物語を語るというだけでなく、作家の信念を表現するプロセスであるとし、その信念は張さんにとっては「食べること」だと語った。

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