著書『台湾漫遊録』(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)の英訳本『Taiwan Travelogue』が全米図書賞(National Book Awards)の翻訳文学部門を受賞した作家の楊双子さんが、台湾文化部(省レベル)が米国に設ける拠点のひとつ、駐ヒューストン台北経済文化弁事処台湾書院の招きを受け、テキサス州の5か所で講演を行った。
講演が行われたのは、セント・トーマス大学ヒューストン校、テキサス大学オースティン校、オースティン中央図書館基金会、サンアントニオのトリニティ大学、ヒューストンのブラゾス書店で、いずれも満席となり大きな反響があった。また、駐ヒューストン台北経済文化弁事処が10月10日の国慶日(建国記念日)を目前に控え6日に開いた国慶を祝うレセプションにも出席し、300名余りの政財界や華僑、学術界、文化界の来賓らと交流した。
講演ツアーの初回となったセント・トーマス大学ヒューストン校での講演では、楊双子さんらしく、普段のおやつである「瓜子(スイカの種)」について、日本統治時代の台湾ではこの瓜子を食べる様子が海外の人から興味を持って注目されたことなどを話題とし、台湾の歴史を生き生きと語った。またテキサス大学オースティン校では、アジア研究学科の比較文学研究所の張誦聖教授がファシリテーターを務めるシンポジウム形式で『台湾漫遊録』についての議論が行われた。
楊双子さんは「台湾の食べ物を描くことは、台湾のアイデンティティを描くこと」と強調し、例えばルーローファン(魯肉飯)にはその食べ物の背後にある豚の飼育や醤油の醸造、稲作といった台湾の農業や畜産業をめぐる思いを描き、台湾の文化が人のアイデンティティをどのように形成するかを示していると述べた。
駐ヒューストン台北経済文化弁事処台湾書院によれば、楊双子さんは9月から10月にかけ、ニューヨーク、マサチューセッツ、ミシガン、テキサスの各州の12か所で講演し、台湾文学のパワーで台米交流に取り組んでいる。