「横浜ジャズプロムナード」は1993年に始まった。「街全体をステージに」をコンセプトに毎年10万人以上を動員する、秋の横浜を代表する文化イベントだ。横浜はジャズ発祥の地とされ、しかも今年は横浜で初めてジャズが演奏されて100周年ということで、台湾のほか、ドイツ・フランクフルトからもジャズバンドを招致した。文化部は、台湾のジャズバンドが「横浜ジャズプロムナード」の招致を受けて参加するのは初めてのことで、「画期的なマイルストーンとなった」と評価している。
今回招致された2つのジャズバンドは、いずれも過去に、台北市の両庁院(国家戯劇院と国家音楽庁)で毎年夏に開催される台湾最大級のジャズフェスティバル「国家両庁院夏日爵士音楽節」(NTCH SUMMER JAZZ)に出演したことがあり、その推薦を受けたもの。許郁瑛(ユーイン・シュー)さんは台湾ジャズ界で注目を集めるピアニスト兼作曲家でもあり、優れた即興演奏力と高い技術を併せ持つ実力派アーティストだ。ジャズだけでなく、台湾のポップアーティストのライブツアーにも多数参加し、また映画音楽の作曲も手がける。今回は自身が率いる実力派メンバーによるバンド「Elektrikkkk 5」とともに登場し、エレクトロニックサウンドを取り入れたスタイルで日本の観客を魅了した。
「臺味爵醒」(Jazz Awakening! — Taiwan Spirit)はサックス奏者である蘇聖育(スー・シェンユー)さんが率いる6人編成のジャズバンドだ。蘇さんは幼いころから台湾語歌謡に親しんできた経験を活かし、良く知られた台湾語の名曲にジャズの要素を融合することを得意とする。今回の公演では「満面春風」、「焼肉粽」、「港都夜雨」、「思慕的人」など、誰もが知る楽曲を刺激的かつ創造的なスタイルでアレンジ。全く新たな解釈で、名曲のメロディに新たな生命の息吹を吹き込み、アコースティックなサウンドにより至福のひとときをもたらした。
文化部の李遠部長(文化相)は昨年訪日した際、横浜市芸術文化振興財団の小野晋司理事と会談。これがきっかけで、台湾のジャズバンドの「横浜ジャズプロムナード」出演が実現した。台湾文化センターの曽鈐龍所長は、今回のコラボをきっかけに、台湾と日本のジャズ界の長期的な協力を促進していけるよう期待するとともに、「多様な音楽文化を核として、台湾と日本の共同公演を今後も推進し、台湾が持つ豊かな文化的エネルギーとイノベーティブな実力を世界に発信していきたい」と述べている。