茂木敏充外務大臣(左)と審査委員長を務める漫画家・里中満智子さん(右)から賞状とトロフィーが手渡された。(写真:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター)
受賞者には茂木敏充外務大臣と、審査委員長を務める漫画家・里中満智子さんから賞状とトロフィーが手渡された。南南日さんは受賞のスピーチで、「この作品はフィクションだが、その内容は自分が育った土地に暮らす人々の記憶を少しずつ集めて形にしたものだ。これらの記憶の多くは日常生活の中で見過ごされがちだが、自分はそれを漫画という形式で描き出した」と述べた。南南日さんはまた、この作品は単に過去を描いた漫画というだけでなく、構想から準備、実際の作画、そして今日こうしてここに立って皆さんと会うまでのプロセスすべてが自分にとって非常に不思議なものだったと振り返った上で、「漫画を創作することはとても楽しいことだと改めて感じた」と語った。
今回の審査員の一人で、元漫画雑誌編集長の堀靖樹氏は『Mararum:山間料理人』について、「単に『技術的に優れている』あるいは『国際色が濃厚』というレベルを超え、真に漫画としての感覚を持ち、創作を味わうという境界に達した作品だ」と高く評価した。
台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは昨年8月に都内で特別展「Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」を開催した。この特別展は、ジェンダー(BL・GL)、多様な民族(先住民や移民)、人権といった多様な社会的テーマに焦点を当てながら台湾漫画を紹介することで、台湾が持つ価値観と創作の力を日本の読者に知ってもらうという試みで、『Mararum:山間料理人』は多様な民族をテーマとした作品の代表として紹介した。授賞式のため会場を訪れた台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は、この作品は漫画を通じてアミ族の伝統的な飲食文化を紹介するもので、そこから台湾に多様な民族(エスニック・グループ)とその文化が存在することが伺えると指摘。こうした自由な精神と多様な題材を兼ね備えた創作環境こそが台湾文化の重要な特質であり、これが海外の読者を引き付ける作品を生み出す土壌になっていると強調した。
李逸洋代表はまた、漫画は台湾の対外文化交流やイメージ発信における重要な力の一つとなっており、今後も台北駐日経済文化代表処としては日本で台湾漫画をテーマにした交流と普及を推進していきたいと述べた。
南南日さんの受賞について文化部の李遠部長も、文化部のプレスリリースを通してコメントを発表した。李部長は、「日本国際漫画賞」の創設以来、台湾の漫画家はこれまでに最優秀賞(金賞)2作品、優秀賞(銀賞)10作品、入賞(銅賞)22作品、奨励賞1作品を獲得してきたと指摘。また、近年、台湾の漫画家たちが創作のエネルギーを蓄積し続け、徐々に国際舞台への扉を開き、世界各地で実力を示しているとして、文化部としては今後も台湾漫画を支援するため、創作支援、翻訳助成、国際プロモーションなどの制度を互いに連携させ、クリエイターの海外市場開拓に協力していきたいと述べた。
今回銀賞を受賞した作品『Mararum:山間料理人』は、南南日さんが好旅文創有限公司が提供する原作を漫画化したもの。舞台は第二次世界大戦期の台湾。料理が得意なアミ族の少女・巴奈が、花蓮港に移り住んできた日本人の家庭で働きながら、地元の食材と集落に伝わる文化を融合させた料理を作り、雇い主である日本人一家の郷愁を癒やす物語だ。
第19回「日本国際漫画賞」には世界110か国・地域から過去最多となる738作品の応募があり、最優秀賞(金賞)1作品、優秀賞(銀賞)3作品、奨励賞1作品、入賞(銅賞)10作品の合計15作品が選ばれた。台湾からは南南日さんの『Mararum:山間料理人』が優秀賞を受賞したほか、狼七さんの作品『黎明前的回声』(邦題:夜明け前の殘響)が奨励賞を受賞。葉明軒さんの作品『大仙術士李白』第8巻が入賞した。