林書宇監督の長編作品『小雁與呉愛麗』(邦題:イェンとアイリー)のワンシーン。家庭内暴力とそのトラウマからの回復をテーマに、交差する二人の女性の人生を通して家族関係、記憶、自己認識を探る物語だ。(ワン・ワールド国際人権映画祭、文化部提供)
1999年に始まった「ワン・ワールド国際人権映画祭」は、チェコ最大の人道支援団体「People in Need」(PIN)が主催する世界屈指の国際人権映画祭の一つだ。毎年、さまざまな映画作品を通して世界各地の人権問題を取り上げ、上映後のトークセッション、フォーラム、教育活動などを通じて開かれた議論や異文化対話を促進している。28回目を迎える今年は、3月11日から19日までプラハで開催される。また、その後は4月下旬までチェコ国内60以上の都市を巡回上映することになっている。
ドキュメンタリー映画『烤火房的一些夢』はタイヤル族出身のサーユン・シモン(Sayun Simung)監督が手がけた作品で、タイヤル族の家庭が直面する、長老が亡くなったあとの文化の継承、家族関係の変化などを繊細な映像で描き、台湾の先住民族が持つ文化の奥深さや精神世界を表現した作品だ。この作品は「ワン・ワールド国際人権映画祭」プログラムディレクターであるTomáš Poštulka氏によって、今年の「必見作品」(must-see films)の一つにも選ばれた。夢や祖霊、現代女性の人生経験などを詩的な映像で描いた物語性が高く評価されている。
もう一つのドキュメンタリー映画『奴隷島』は、台湾が参加する各国の合作映画で、スンバ島(インドネシア)に現在も残る奴隷制度を明らかにし、伝統・権力・人権の複雑な関係を深く掘り下げた作品。本作品は今年の「ワン・ワールド国際人権映画祭」のコンペティション部門「Right to Know」にノミネートされており、その他のノミネート作品とともに「ヴァーツラフ・ハヴェル審査員賞」(Václav Havel Jury Award)の受賞をかけて競う。
さらに、林書宇監督の長編作品『小雁與呉愛麗』も注目を集める作品だ。モノクロ映像で語られるこの作品は、家庭内暴力とそのトラウマからの回復をテーマに、交差する二人の女性の人生を通して家族関係、記憶、自己認識を探る物語となっている。プログラムディレクターであるTomáš Poštulka氏は、「このような作品は人権映画祭のテーマの文脈において非常に議論性が高い」と評価している。