イギリスのブッカー賞は31日、翻訳書部門、国際ブッカー賞(The International Booker Prize)の最終候補作(Shortlist)6作を発表、台湾の作家、楊双子さんの小説『台湾漫遊録』(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)の英訳本『Taiwan Travelogue』がノミネートされた。同賞の最終候補作となるのは、台湾の作家の作品としては初めて、アジアの作家の作品としては今年唯一となる。
文化部によると、同賞では台湾の作家として2018年に呉明益さんの『単車失窃記』(邦題:自転車泥棒)が候補作(Longlist)に選ばれたことがある。楊双子さんの『台湾漫遊録』はこれまで、2021年に台湾の出版分野で最高栄誉とされる金鼎奨の文学図書賞を受賞し、2024年には英訳本『Taiwan Travelogue』が全米図書賞(National Book Awards)の翻訳文学部門を受賞している。イギリス版は2026年3月に出版されたばかり。
同賞は『台湾漫遊録』について「ポストコロニアルな洞察に満ちた小説でありながら、その読み心地は甘酸っぱく、心を揺さぶるロマンスのようである」と評している。歴史的回顧録の翻訳という体裁をとり、核となる物語を語るために注釈や後記まで添えられた、読むほどに奥深い作品であり、二人の女性主人公の複雑で魅惑的、かつ同様に切ない関係性を軸に、先天的(構造的)な権力の不平等がある関係において、愛や友情が直面するさまざまな挑戦を美しく描き出していると高く評価している。
ブッカー賞は5月19日にロンドンのテート美術館で授賞式が行われる。文化部と台北駐英国代表処(駐英大使館に相当)は現在、楊双子さんと英訳を手がけた翻訳者の金翎さんを英国に招き、文学講座やサイン会などのイベントを各地で開くことを計画しており、英国の読者と交流することで台湾文学の魅力を知ってもらいたいとしている。
なお、この小説は今後、日本・台湾の国際共同制作でドラマ化されることが決まっており、NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』の吉田恵里香さんが脚本を執筆することが予定されている。