2026/05/30

Taiwan Today

文化・社会

国際ブッカー賞受賞の『台湾漫遊録』作者・楊双子さんが帰国

2026/05/27
日本統治下の台湾を舞台にした小説『台湾漫遊録』(邦題:「台湾漫遊鉄道のふたり」)を英訳した『Taiwan Travelogue』(翻訳:金翎さん)が19日、優れた英語翻訳書を表彰する英国の「国際ブッカー賞」を受賞した。26日、授賞式のため渡英していた同書の作者・楊双子さん(中央)が台湾の桃園国際空港に到着した。(中央社)
日本統治下の台湾を舞台にした小説『台湾漫遊録』(邦題:「台湾漫遊鉄道のふたり」)を英訳した『Taiwan Travelogue』(翻訳:金翎さん)が19日、優れた英語翻訳書を表彰する英国の「国際ブッカー賞」を受賞した。台湾の文学作品が同賞を受賞するのは初めてのことで、台湾文学の歴史を塗り替える快挙となった。26日、授賞式のため渡英していた同書の作者・楊双子さんが台湾の桃園国際空港に到着した。空港では文化部の李静慧政務次長(副大臣)が出迎え、中華航空(チャイナエアライン)の関係者とともに花束を贈って祝福した。楊双子さんはトロフィーを手に喜びの表情を見せ、「まずは台南の牛肉スープを食べたい」と語った。
 
楊双子さんは空港での取材に対し、「私は台湾文学の中で最も優れた人間ではない。ただ偶然この機会を得ただけ」と述べたうえで、「もし金翎さんの翻訳戦略や翻訳にかける思想がなければ、この大賞を受賞することは不可能だった」と語った。また、台湾文学界の先輩、同世代、後進に向け、「台湾文学は世界の舞台において、決して誰にも負けていなかったことを信じてほしい」と呼びかけた。
 
楊双子さんはさらに、渡英前に蔡英文前総統と会ったときのことを振り返った。それによると、楊双子さんが「台湾のためにこの賞を取りたいと思っている。でも、その考え方が健全なものかどうかが分からない」と話したところ、蔡前総統から「なぜそれが健全ではないと思うのか」と逆に問い返されたという。その経験から、「台湾のために何かをしたいと思うのは非常に自然なことだ」と実感した。そして、いまこのとき台湾において、「台湾のためにこの賞を取りたいと思っていたし、実際に取ることができて本当に嬉しい」と語った。
 
楊双子さんははまた、自身と金翎さんはたまたま「台湾のために何かをしたい」という思いを持っており、価値観の一致が協力の大きな理由だったと説明した。そして、「私たちはこれからも次々と『台湾チーム』を結成して台湾の外へ出ていくことになる。私たちはたまたまその先頭を歩き、最初に見つけてもらえただけだ」と述べた。そして、「残念ながら自分の英語力不足のため十分に思いを伝えきれなかった」としながらも、金翎さんとは「核心的な共通認識」があったとし、それは「できる限り台湾について語り、今の台湾がどのような状況にあるかを伝える」ことと、「文学という方法で台湾が世界に認識されることで、台湾には台湾文学だけでなく、もっと注目すべき価値があることを知ってもらい」ということだったと語った。
 
今後について楊双子さんは、英国滞在中にエージェントチームと話し合い、2029年までは講演依頼を受けないことを決めたと明かし、その理由について「媽祖に願掛けをして決めたことだから」と説明。また、次の作品をしっかり書き上げたい考えを示した。ただし、新刊が出た際には出版社と相談し、一定の新刊イベントは行う予定だという。
 
また、将来の出版計画については、「台湾、女性、歴史」に関わるテーマを書きたいと語った。細部から全体を見通す形で、「台湾とはどのような国なのか」を理解できるテーマを取り上げる予定で、すでに2冊を執筆中だという。来年には現代を舞台とした小説を出版予定で、もう1冊の歴史小説については2029年までに完成・出版したいと考えているが、それは日本統治時代を舞台にした作品で、より多くの資料調査が必要になると説明した。
 
最後に楊双子さんは、「『台湾漫遊録』だけでなく、他にも台湾には数多くの優れた小説、詩、散文がある。それらがより多くの人々の目に触れられて欲しい。それが私の最大の願いだ」と述べた。
 

ランキング

新着