蘭嶼に住むタオ族の人々と、バタン諸島に住むイバタン族(Ivatan)の人々は同じオーストロネシア語族に属し、300年前まではバシー海峡を隔てたこの2つの場所をカヌーで往来していたと言われる。言語や文化などの方面で極めて高い共通項があるが、300年前、何らかの理由で往来が途絶えた。原住民族委員会は、この古代海路を300年ぶりに復活させるため、蘭嶼の6つの集落の人々の協力を得て、2年かけて「Ovayan黄金友誼号」(20人乗り)を造り上げた。バタン諸島までの航海には60名が順番で参加し、昔ながらの手漕ぎにより先人たちの航路をたどった。バタンでは地元の住民300~400名が集まり一行を歓迎した。原住民族委員会はその後、バタン諸島を管轄するバタネス州に、「古代航路復活」の証(あかし)として「Ovayan黄金友誼号」を寄贈した。
頼清徳総統は、「今回の航海は6つの集落の人々が一緒になって舟を造ることから始まり、伝統的な進水の儀式を経て出発。23時間にわたって舟を漕ぎ、バタン島に到達したものであり、非常に感銘を受けた。大型のチヌリクランは、蘭嶼の6つの集落の造船職人が27種類の木材を使い、伝統工法に従って共同で製作したそうだ。また、60人の漕ぎ手が交代で航海を成し遂げた」などと説明。航海についても、風向きや海流、星の位置や季節を読み取る知識から、トビウオ、チヌリクラン、伝統歌謡に至るまで、すべてに先祖から受け継いだ知恵が込められているとした上で、「このチヌリクランは台湾そのものだ。27種類の木材にはそれぞれ異なる特性と最も適した位置があり、それらが互いに支え合うことで初めて、黒潮や荒波の試練に耐えることができるのだ」と語った。
頼清徳総統はまた、「数百年前、先祖たちは黒潮や海流、季節風、星を頼りに、台湾から広大な太平洋へと航海した。台湾の人々は海の民であり、海を通じて世界とつながることができる。これからも先住民族の言葉を話す人、歌謡を歌う人、舟造りの技術を学ぶ人を絶やさず、こうした貴重な伝統を、台湾が大海原へ乗り出すための力にしていく必要がある」と強調した。