「アジアはもう行きつくしたという人、そして全く訪れたことは無いがアジアに興味があるという人。どちらにとっても台湾は非常に理想的な旅行先だ」 ロシア人の人気ブロガー2人がこのほど初めて中華民国(台湾)にやって来て、台湾は間違いなく、アジア各国の特色を融合した「ハート・オブ・アジア」だと絶賛した。
ベルリン在住のAlexander Belenkiyさんとモスクワ在住のSergei Anashkevichさんはいずれもロシア語のネット世界で大きな人気を集める旅行ブロガー。ロシア語圏の人たちに台湾のことをもっと知ってもらい、より多くの旅行者を台湾に呼び込もうと、外交部(日本の外務省に相当)はこのほど2人を台湾に招待した。2人は15日から19日まで台湾南部、中部、北部を訪問。訪れたのは屏東県の墾丁国家公園、同県牡丹郷の先住民族集落、台南市の四草緑色隧道と神農街(以上台湾南部)、台北市の猫空、西門町、超高層ビルの台北101、新北市の九份(以上台湾北部)など。Alexander Belenkiyさんはこうした場所での体験について、Webマガジンの「Live Journal」の中で、「博物館よりさらに興味深いリアルな生活」と形容した。
アジアはほとんど行ったことがあるというAlexander BelenkiyさんとSergei Anashkevichさんは、台湾はアジアの国々の特色を融合しているだけでなく、意識して、あるいは無意識にそれらを改良しているとの見方で一致。アジア以外からやって来た人たちにとって、台湾で改良されたものは従来のものよりいっそう親しみやすくなっていると指摘した。そして、こうした点から台湾はアジアを探索するための理想的な出発点だと評価、「カルチャーショックの問題が相対的に少ない」との感想を述べた。一方で2人は、アジアのことはもうよく知っているという人でも台湾では、「知っているような、知らないような」と感じる、すぐには理解できない新しい物事に出くわすこともあるとその魅力を説明した。
2人は、台湾にやって来るまで台湾と中国は似たようなものだと思っていたが、「来てみたら大きく違った」と話し、主な点として人の資質と全体的な雰囲気の違いを挙げた。2人によれば、台湾は「人の匂い」がし、生活に適した場所なのだという。Alexander Belenkiyさんは、他のアジア諸国と比べて台湾では外国人が自動車を運転する際の制限が少なく、交通も相対的に安全だとして、自分で運転してディープな旅をすることを薦めている。
Alexander Belenkiyさんは今回の旅の中で、あらかじめ自分で調べていた観光スポットを訪れることを強く希望した。それは、在来線・台湾鉄道の猴硐駅とそこに広がる「貓村(猫の村)」(以上、台湾北部・新北市)、そして高雄市(同南部)の「集盒・Kubic-貨櫃聚落」(コンテナ村)。モスクワでは近年、老朽化した工業施設を改造した文化クリエイティブ拠点が多数生まれている他、癒し効果のある「猫カフェ」も現れているという。Alexander Belenkiyさんは、これからも台湾でこうした「片隅」をより多く見つけられる機会があるよう希望した。
Alexander Belenkiyさんは、モスクワの映画館で一度飲んでたちまちその虜になったというタピオカミルクティーのファン。ただ、モスクワでのタピオカミルクティー店は次々と廃業してしまった。このため今回の台湾旅行における重要な「任務」の一つは、タピオカミルクティーを求める心を具体的な行動で満たすこと。帰国後はさらに、タピオカミルクティーの文化と現象に関する分析を特別な記事にまとめるという。
Sergei Anashkevichさんも、台湾の多元的かつ精緻な飲食文化は印象的だとした上で、その優しい味わいに注目。「『三杯田鶏』でさえ食べやすい」と述べて、外国人旅行者が適応する上で問題はないだろうと評価した。「三杯田鶏」は米酒、ゴマ油、しょうゆ、九層塔(台湾バジル)で味付けしたカエル料理のこと。ただ、Sergei Anashkevichさんが「グルメの新たな発見」と最も興奮したのは果物の「釈迦頭/バンレイシ」。台南市を訪れた際、かき氷などを売るスウィーツ店で初めて食べてショックを受けた。その後、台北市の浜江野菜果物卸売市場で見つけると迷うことなく購入。「買った時、自分はロシアで最も幸せな人間だと思ったが、残念なことに『釈迦頭/バンレイシ』は固くなかった。固かったならスーツケースは釈迦でいっぱいになったのに」と残念がりながら、1箱6kgを持ち帰った。
中華民国(台湾)は昨年9月から、ロシア人旅行者に対して滞在14日間の入国ビザ免除措置を試験的に実施している。