梅花鹿はニホンシカの亜種で台湾独特のシカ。1969年に野生のものは絶滅したとされる。行政院は1984年から繁殖研究チームを設けて復活と繁殖に取り組んでいるが、最近になって離島の金門県で飼育されている梅花鹿が最も「純血」であることがわかり、梅花鹿の種の保存と観光資源としての価値で注目を集めている。
金門県畜産試験所は1980年、台北市からオス1頭、メス4頭の梅花鹿を贈られた。31年後の今、繁殖計画の成功で金門の梅花鹿は176頭に増加している。国立台湾大学、国立台湾師範大学、中央研究院、墾丁国家公園、金門県畜産試験所は2008年から台湾の梅花鹿の保護について合同で研究、文献や、遺跡から出土したシカ科の動物の標本と金門、墾丁、緑島などに現存する梅花鹿のDNA鑑定などから、その遺伝構造を分析した。
その結果、金門県と墾丁で飼育されるシカが、台湾における古代梅花鹿の母系遺伝の連続性を保っていることが判明。さらに、墾丁での飼育開始は金門より遅く、また、保護繁殖過程において高雄市左営のシカや東海大学での研究用のシカも導入したため遺伝の状況が若干複雑になっているのに対し、金門島の梅花鹿の遺伝構造は単純で、最も「純血」であることがわかった。
かつて軍事管制がしかれ、外界と隔絶されていた金門で他のシカとの交配がなされなかったことから、「純血」が保たれたものと考えられているが、その反面、個体数が限られていることで近親係数が高まり、繁殖が進まなくなる恐れもある。
研究者は、金門の梅花鹿は重要な「遺伝子バンク」で、生殖細胞や体細胞の保存とDNA遺伝子バンクの構築で遺伝を管理するよう提言。さらには金門と墾丁の梅花鹿を第三地点でも飼育して種の保存を万全にすると共に、交配させて遺伝の多様性を実現するべきとしている。
金門県畜産試験所では、引き続き学術団体と協力して梅花鹿の遺伝管理を実行していく他、観光発展計画に合わせて放し飼いの梅花鹿園を開き、ユニークな旅の生態教室を創り上げたいとしている。