台湾で春に咲く花の人気ナンバーワンといえば、桜をおいて他にはないであろう。広く知られた花見のスポットとしては、陽明山国家公園(台北市北投区)や阿里山国家風景区(嘉義県)、烏来風景区(新北市)のほか、霧社廬山(南投県)、東勢林場(台中市)、観霧(新竹県)、棲蘭山(宜蘭県)などでも楽しむことができる。
また、1989年に制作された台湾映画のテーマとなり、津々浦々に知られたルピナス(魯氷花)は、3月初旬から中旬にかけ花を咲かせる。台北市文山区の猫空がこの花の絶好の花見スポットとなっている。3月にはツツジのつぼみがほころび始める季節で、陽明山や台湾南部の台南市の烏山頭ダム、烏来(新北市)、中部横貫公路の梨山(台中市)や合歓山(南投県)沿いなどが、美しいツツジの海に姿を変える。
4月に入ると、台湾北西部の新竹・苗栗一帯のアブラギリ(油桐花)が相次いで木の枝につけた花を咲かせる。「五月の雪」と言われる情緒を楽しむなら、新竹や苗栗、東勢林場がおすすめの行き先である。
春と秋の2つの季節に咲くのはハナシュクシャ(花縮紗、中国語では野薑花)。強い香りを放つハナシュクシャは、台湾の渓流べりの主役である。ハナシュクシャのふるさとを訪ねるため、台湾北部の双渓(新北市)を旅する人も多い。
誇り高い孤高のタカサゴユリ(台湾野百合)は春が終わりを告げるころ、北東海岸から花蓮・台東にかけての東海岸一帯の岬で咲き乱れる。続いて、テンニンギク(天人菊)は台湾海峡をはさんで、西南の海に浮かぶ離島、澎湖島の夏の訪れを告げる。
さらに、台湾中部の彰化県は、ジャスミンの故郷で、5月から10月にかけ、訪れた人が花を摘んで楽しむことができる。8月から9月には、花蓮県の赤科山(玉里鎮)や六十石山(富里郷)、台東で、ワスレグサが満開を迎える。中国語で金針花と呼ばれるワスレグサは、澄み渡った真っ青な空に黄金色に輝く花の海がくっきりと映える。この姿を見ると、のびのびとすがすがしい気持になり、悩みもすっかり忘れてしまうであろう。
同じころの8月に咲くキンモクセイをみるなら、南投県名間郷を訪ねれば、花の香りに包まれながらキンモクセイ入りの美食も楽しめ、えもいわれぬ優雅な心持ちにさせてくれる。