2024/11/23

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政治

同性婚の合憲性めぐる憲法解釈、5/24までに結論

2017/03/24
同性婚の合憲性を判断する司法院大法官会議(憲法法廷)が24日より始まった。遅くとも5月24日までには憲法解釈文が発表される。写真は大法官会議の様子。大法官会議として初めてネット中継された。(中央社)

同性婚の合憲性を判断するための司法院大法官会議(憲法法廷)が24日より始まった。憲法解釈の申し立てを行ったのは祁家威さんや台北市など。祁家威さんは1986年から同性婚の合法化を求める運動を行ってきた。1988年に同性のパートナーと披露宴を行ったが、当時台湾は「儀式婚主義(披露宴などの儀式を行うことによって婚姻の成立を認める制度)」を採用していたにも関わらず、役所で結婚の登記を認めてもらうことができなかった。2013年、台湾の婚姻制度は「登記制」に変更され、祁家威さんは再び登記を申請したが受理されなかった。24日に始まった大法官会議では、祁家威さんのほか、台北市を代表して台北市人権保障諮詢委員会の廖元豪委員、関係機関として法務部(日本の法務省に相当)の邱太三部長(大臣)らが陳述を行う。口頭弁論の終結が宣告された後、遅くとも5月24日までには憲法解釈文が発表される。
 
規定によると大法官会議による憲法解釈には、大法官の総数の三分の二以上の出席と、出席した大法官の三分の二以上の同意が必要。しかし、法律が憲法に抵触する旨を宣告する場合は、出席した大法官の過半数の同意が必要。大法官による統一解釈及び命令は、現在の大法官の総数の過半数が出席し、出席した大法官の過半数が同意しなければならない。
 
大法官の一人、黄瑞明氏のみが、立法院(国会)における同性婚支持の先鋒である尤美女立法委員(国会議員)の配偶者であることから、利益回避のため大法官会議への出席を控えるほか、残る14名の大法官は全員出席することになっている。つまり、10名の大法官の意見がまとまれば、合憲あるいは違憲の宣告を行うことができる。
 
司法院大法官が提示する口頭弁論は、以下4項目が争点となる。
 
1.民法第4編親属第2章の婚姻に関する規定は、同性2人による結婚を認めているかどうか。
2.もし認めていない場合、婚姻の自由を保障する中華民国憲法の規定に違反しないか。
3.平等権(法の下の平等)を保障する憲法の趣旨に違反しないか。
4.立法により婚姻とは別の制度(同性パートナーシップなど)の設置を認めた場合、憲法が保障する平等権及び婚姻の自由の趣旨に違反しないか。
 
予想される憲法解釈の結果は以下の3項目がある。
 
「合憲」
すなわち現行の民法は違憲状態ではないということになり、現状が維持される。しかし、これは現行の民法が違憲ではないという解釈にすぎず、同性婚の合法化を求める人々は、引き続き同性婚に関する法律の成立を目指すことができる。つまり、戦いの舞台を再び立法院へ戻すことになる。
 
「違憲」
この場合、いくつかの結果が考えられる。そのうちの一つは民法の「即日失効」。ほかには民法第4編親属第2章の婚姻に関する規定の失効日を何月何日に指定するか、あるいは憲法解釈が発表されて半年後に失効するかなどが問題となる。民法の主務官庁である法務部は、民法の規定が失効する前に、関連条文の修正を行うか、または条文を追加する必要がある。
 
「合憲性解釈」
大法官が行うさまざまな解釈のうち、最も憲法に合致した解釈方法を選択するというやり方である。例えば民法972条では「婚姻は男女の当事者自身により決める」と規定されているが、これは一つの解釈方法だ。弁護士などはこれを「婚姻は当事者自身によって決める」ものであり、性別の属性は男性あるいは女性であれば良く、1人の男性と1人の女性とは限定していない、と解釈する可能性がある。こうした解釈について大法官が検討した後、憲法に合致した解釈だと決めれば、それが「合憲性解釈」となる。
 

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