台湾北部・台北市の著名な独立系書店、「女書店」はこのほど、赤字経営に耐えきれないとして、7月1日の閉店を宣言した。出版事業のみ継続する。「女書店」は台湾で広く知られる独立系の書店で、中国語書籍では世界初のフェミニズム書店だった。長期にわたって女性の権利、性別に関する問題に関心を寄せ、1994年には同性愛に関する書籍の専門コーナーも開設、ジェンダー平等に関する座談会などの活動もしばしば行った。同書店は1日早朝、フェイスブック上で7月1日の閉店、及び6月1日より17日までのクリアランスセールを発表した。
「女書店」はフェイスブックに、「23年間、我々と共に歩んでくれた全ての友人たちに感謝する。しかし、経営環境が変化する中、長年の累積赤字と経営難という現実に抵抗しきれなかった。極めて遺憾ながら、このつらい決定を下さざるをえない。『女書店』は7月1日に店舗での営業を終了する」と投稿した。同書店は今年4月、「1,000台湾元(約3,670日本円)で本を買って『女書店』を支持しよう」というスローガンを打ち出し、読書を好む人たちが具体的な行動で、「女書店」が難関を乗り越えられるようサポートしてくれることを呼び掛けていた。
「女書店」は今後も出版業務を継続する。フェミニズムの発展に向けて努力を続け、ジェンダー平等に関する出版物のために力を尽くすとしており、新しい姿でファンたちと再び対面できることを期待した。
与党・民進党籍の尤美女立法委員(国会議員)は、1990年に女性団体を率いて米国のサンフランシスコとロサンゼルスを訪問した際、「女書店」のような独立系書店を目にしてうらやましく感じたという。そこで台湾に戻ると、フェミニズム運動に携わる人たちと資金を集めて「女書店」を創設。株主は学術界の人かフェミニズム運動に携わる人で、「商売人ではない人ばかりで、すごいことだった」。創業10年目の閉店も考えたが、みなが再び出資したため経営を維持できたという。しかし、最近は負債が過度に膨らんだことに加え、ネット書店の低価格戦略により実体のある書店に足を運ぶ人がますます減少、その結果、何度かの「救済活動」はいずれも失敗した。尤立法委員は閉店の理由について、変革と世代交代への期待もあるとして、若者が引き継いでくれるよう望んだ。
尤立法委員は、「性別平等法」が制定されて十数年になるにも関わらず、最近の同性婚合法化の動きに対し、反対者はジェンダー平等教育を学校から排除しようとしていると指摘、「とても皮肉なこと」だと批判した。
尤立法委員はまた、「女書店」が今後非政府組織(NGO)に転じる可能性を指摘、経営のプレッシャーから解放される一方で出版業務は維持していく考えを示した。現在、大きな在庫を抱えていることについて尤立法委員は、「良い本ばかりだが皆がその良さを知らないだけだ」として購入を呼び掛けた。そして、「同性婚もここまで来た。(『女書店』を)救えるかどうかは皆の協力にかかっている」と話した。同性婚は憲法解釈の末、合法化の方向が決定している。