統一地方選挙と全国性公民投票(国民投票、住民投票)10項目の投開票が24日に行われた。開票作業は翌25日午前3時2分まで続いた。
直轄市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市の6市)の市長選挙及び省轄県(台湾省11県、福建省2県)の県長(=県知事)及び省轄市(基隆市、新竹市、嘉義市の3市)の市長選挙では、与党・民進党の首長数が改選前の13から6へと激減した。一方、野党・国民党の首長数は6から15に増えた。無所属の首長数は3から1に減った。
国民党の候補者である丁守中氏と無所属現職の柯文哲氏の接線が繰り広げられた台北市(台湾北部)では、柯文哲氏が3,254票の僅差で勝利した。これに対して丁守中氏は選挙無効を訴え、台北地方法院(=地方裁判所)に票の再集計を求めている。台北市では、北部に柯文哲氏の支持者が、南部に丁守中氏の支持者が集中するという顕著な傾向が見られた。
20年にわたり民進党が首長を務めていた高雄市(台湾南部)では、国民党の候補者である韓国瑜氏が15万306票差で民進党の陳其邁氏に勝った。2014年に行われた統一地方選挙で国民党の得票数が民進党を上回ったのは、那瑪夏、桃源、茂林の3つの行政区のみだったが、今回の選挙では民進党の票田と言われる鳳山、旗山、岡山の3つの行政区でも民進党の得票を上回った。
新北市(台湾北部)は国民党の侯友宜氏が民進党の蘇貞昌氏を破って当選した。行政区別に見ると、蘆洲、三重、石碇、坪林、貢寮を除くすべての行政区で国民党の侯友宜氏の得票数が民進党の蘇貞昌氏を上回った。
桃園市(台湾北部)は与党・民進党所属で現職の鄭文燦氏が再選を果たした。鄭文燦氏の得票数は、桃園市内のすべての行政区で国民党の陳学聖氏を上回った。
台中市(台湾中部)は国民党の盧秀燕女史が与党・民進党所属で現職の林佳龍氏を破った。台中市ではほとんどの行政区で盧秀燕女史の票が林佳龍氏を上回った。林佳龍氏の票が上回ったのは神岡区のみだったが、その票差はわずか0.5%、167票にすぎなかった。
台南市(台湾南部)は与党・民進党の黄偉哲氏が、大多数の行政区で野党・国民党の高思博氏を下して当選した。
22県・市長選挙の得票数を主要政党別に見ると、国民党が約610万票、民進党が約489万票、その他の政党及び無所属が約9万3,000票となった。2000年以降の総統選挙及び統一地方選挙の結果と比べて見ると、国民党と民進党の得票率は互いに上下を繰り返す「振り子現象」が再び見られた。
また、地方議会の総議席数を見ると、与党・民進党が70議席減らして238議席に。一方、野党・国民党は20議席増えて394議席となった。また、無所属は42議席増えて234議席となった。2015年に誕生した時代力量は、初めて迎えた地方選挙で16議席を獲得した。その他の政党の議席数は29議席から30議席に増えた。このことから、国民党と民進党の二大政党以外の勢力が台頭していることが分かる。
中央選挙委員会の統計によると、直轄市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市の6市)の市長選挙の投票率は66.11%で、4年前の66.31%を若干下回った。
なお、2014年に選挙で当選した女性の首長は、22県・市のうち高雄市(陳菊女史)と嘉義県(張花冠女史)のみだったが、今回の選挙では女性首長が7名誕生した。いずれも国民党の公認候補者。国民党は今回の県・市長選挙で、宜蘭県(林姿妙女史)、花蓮県(徐榛蔚女史)、台東県(饒慶鈴女史)、台中市(盧秀燕女史)、彰化県(王恵美女史)、雲林県(張麗善女史)、嘉義市(黄敏恵女史)で女性候補を立て、その全員が当選した。特に台湾東部(宜蘭県、花蓮県、台東県)は全員が女性の首長となった。民進党は県・市長選挙に女性の候補者を立てていなかった。