2024/11/27

Taiwan Today

政治

10項目の公民投票、7項目が成立要件に達する

2018/11/26
統一地方選挙の投開票が行われた24日、10項目の全国性公民投票(=住民投票、国民投票)が同時に実施され、10項目中7項目が成立となった。2004年以降、公民投票が成立するのは初めてのこと。写真は公民投票を行う有権者(右)と投票所のスタッフ(左)。(中央社)
統一地方選挙の投開票が行われた24日、10項目の全国性公民投票(=住民投票、国民投票)が同時に実施された。「公民投票法」では、有権者(1975万7067人)の4分の1(493万9267人)が賛成すれば成立すると定めており、10項目中7項目が成立となった。台湾では2004年以降、これまでに6項目の議題で公民投票を実施したことがあるが、いずれも成立要件に達していない。公民投票が成立するのは今回が初めて。
 
成立要件に達した7項目
 
■「毎年平均少なくとも1%引き下げ」という方法で火力発電所の発電量を徐々に引き下げる方法に同意するか否か。(提案:国民党)
  賛成:795万5753票      反対:210万9157票      無効:71万5140票
 
■「あらゆる火力発電所あるいは発電機(深澳火力発電所の建設含む)の新たな建設、拡充工事を停止する」というエネルギー政策の策定に同意するか否か。(提案:国民党)
  賛成:759万9267票      反対:234万6316票      無効:82万3945票
 
■日本の福島県をはじめとする東日本大震災の放射能汚染地域、つまり福島県及びその周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)からの農産品や食品の輸入禁止を続けることに同意するか否か。(提案:国民党)
  賛成:779万1856票      反対:223万1425票      無効:75万6041票
 
■「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある原子力発電所は2025年までにすべての運転を停止しなければならない」の条文を削除することに同意するか否か。(提案:核能流言終結者 黄士修さん)
  賛成:589万5560票      反対:401万4215票      無効 :92万2960票
 
■民法が規定する婚姻要件が一男一女の結合に限定されるべきであることに同意するか否か。(提案:下一代幸福聯盟)
  賛成:765万8008票      反対 :290万7429票      無効:45万9508票
 
■義務教育の段階(中学及び小学校)で、教育部及び各レベルの学校が児童・生徒に対して「性別平等教育法(=ジェンダー平等教育法)施行細則が定めるLGBT教育を実施すべきではないことに同意するか否か。(提案:下一代幸福聯盟)
  賛成:708万3379票      反対 :341万9624票      無効:50万7101票
 
■民法の婚姻に関する規定以外の方法で、同性カップルが永続的共同生活を営む権利を保障することに同意するか否か。(提案:下一代幸福聯盟)
  賛成:640万1748票      反対:407万2471票      無効:54万757票

成立要件に達しなかった3項目
 
■台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に出場参加することに同意するか否か。(提案:元オリンピック選手 紀政さん)
  賛成:476万3086票      反対:577万4556票      無効:50万5153票
 
■民法の婚姻章が同性カップルによる婚姻関係を保障することに同意するか否か。(提案:平権前夕・彩虹起義)
  賛成:338万2286票      反対:694万9697票      無効:60万8484票
 
■「性別平等教育法」が義務教育の各段階でジェンダーの平等に関する教育を実施するよう明記し、且つその内容が感情教育、性教育、LGBT教育などに関する課程を盛り込むべきだとすることに同意するか否か。(提案:平権前夕・彩虹起義)
  賛成:350万7665票      反対:680万5171票      無効:61万9001票
 
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野党・国民党が提案した火力発電の比重引き下げ、日本の福島など5県産食品の輸入禁止の継続、深澳火力発電所の建設反対が、いずれも700万票以上の賛成で成立した。民法の改正で同性婚を合法化することに反対の立場を示す下一代幸福聯盟が提案した3つの議題も、600万票以上の賛成で成立。与党・民進党政権が掲げる2025年脱原発政策に反対する議題も、600万票近くの賛成で成立した。
 
一方で、2020年東京五輪に台湾の名称で出場参加することの賛否を問う公民投票は、賛成票が規定の数に達せず、未成立となった。しかし、この議題は賛成票と反対票の票差が最も小さいものとなった。同性婚支持を求める平権前夕・彩虹起義が提案した2つの議題は、反対票が圧倒的多数でいずれも未成立となった。
 
個人の選択を尊重するとしながらも、カトリックの立場から同性婚に反対の立場をとる天主教会台湾主教団の陳科秘書長は、「これまでのメディアの報道を見ても、LGBT支援のパレードなどを見ても、すでに社会全体が同性愛者を受け入れているような印象を持っていた。しかし、公民投票の結果から見ると、一般市民にとって同性婚はまだ受け入れられないものであることが分かった」と指摘する。
 
陳科秘書長は、「今回の公民投票の結果から、大部分の一般市民は特別法の制定によって同性婚を規定することに賛成していることが分かる。これは同性カップルが生活、性関係において法律上、一定の地位を得ることを大部分の一般市民が受け入れていることを意味する。しかし、同性婚を受け入れているわけではない」、「同性婚を受け入れないことは、すなわち同性愛者を否定することではない。とはいえ、公民投票の結果から見ると、台湾の一般市民は依然として保守的で、婚姻の定義が変わることを受け入れられず、婚姻は一男一女の結合に限定されるべきだと考えていることが分かった」と説明している。

 

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