2024/11/24

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屏東県、パイワン族の織布技法を伝える許春美さんと蒋梅貞さんに「伝統工芸師」の認証

2020/04/21
台湾南部・屏東県は20日、来義郷在住の織布工芸職人である許春美さん(左の写真)と蒋梅貞さん(右の写真の女性)に「伝統工芸師」の認証を授与した。2人はすでに失われていたパイワン族(台湾先住民族の1つ)の織布技法を復活させ、その伝承に取り組んでいる。(中央社)
台湾南部・屏東県は20日、来義郷在住の織布工芸職人である許春美さんと蒋梅貞さんに「伝統工芸師」の認証を授与した。2人はすでに失われていたパイワン族(台湾先住民族の1つ)の織布技法を復活させ、その伝承に取り組んでいる。これとは別に、屏東県は県内7つの団体を「先住民族民俗類文化資産保存団体」に認定した。
 
屏東県文化処が20日に発表したニュースリリースによると、床に座って機織りをする伝統技法を持つパイワン族は非常に少なくなっている。織布技法の伝承は行われているものの、その大部分は卓上型の機織機を使っているからだ。許春美さんは現時点で、パイワン族の伝統の織布技法(平織、斜紋織、夾織など)を最も多く、且つ完全な形で習得している唯一の職人と言われている。
 
許春美さんが習得しているパイワン族伝統の織布技法には平織(pinakaitan)、斜紋織(kinaljaqeljesayan)、夾織(vinecikan)などがある。たて糸の配列と異なる織り方を掛け合わせることで、数十種類の模様を織り出すことができる。どの模様にも、パイワン族伝統の名称が付けられている。許春美さんはパイワン族を代表する織布職人であり、極めて多くの伝統工芸と観念を現在に伝えている。
 
過去に第1回「文化部国家工芸奨(=賞)」を授与されことのある許春美さんは、先住民族の伝統紋様を現代の服飾に取り入れることに力を入れている。許春美さんによると、パイワン族の織布はタイヤル族の機織機と違い、足で板を固定し、たて糸で模様を作るのが特徴だ。
 
同じ日に「伝統工芸師」の認証が授与された蒋梅貞さんは、パイワン族伝統の織布と服飾製作の技法の普及に努めている。中でも力を入れているのが、パイワン族伝統の織布技法である斜紋織と夾織だ。
 
蒋梅貞さんによると、パイワン族の織布技法は最も簡単な平織に続き、少し上級の斜紋織があり、それから最も難しい挑織と夾織がある。中でも夾織の難易度が最も高い。伝統の織布技法を持つパイワン族は数少なくなってきているが、それでも蒋梅貞さんはその伝承に力を惜しまない。蒋梅貞さんは、織布に関する授業を開くことで、先祖代々受け継いできた知恵を後世に伝え、織布技法を知ることはパイワン族にとって光栄なことであるという認識を広めている。
 
また、「先住民族民俗類文化資産保存団体」に認定された屏東県内の7つの団体は以下のとおり。
 
来義郷望嘉の「Vunglid-maljeveq(神人盟約祭)」
団体:屏東県来義郷嘉魯礼発・魯飛礼飛家団伝承文化発展協会
来義郷高見のmaljeveq(祖霊祭)
団体:屏東県来義郷高見社区発展協会
来義郷白鷺のmaljeveq(祖霊祭)
団体:屏東県義来郷白鷺社区発展協会
来義郷望嘉のpusau(祖霊送り)
団体:屏東県来義郷望嘉社区発展協会、屏東県来義郷嘉魯礼発・魯飛礼飛家団伝文化発展協会
パイワン族古楼社のmaljeveq(祖霊迎え)とpusau(祖霊送り)の祭典
団体:屏東県部落文化教育学会、屏東県吉羅夫敢文教協会
 
屏東県来義郷南和村の陳文山村長は屏東県に対し、これらを文化部(日本の文科省に類似)の「国家重要民俗活動(=日本の重要無形民俗文化財に類似)」あるいは人間国宝(国の無形文化財の保持者)に認定してもらえるよう働きかけて欲しいと協力を要請した。陳文山村長は、パイワン族伝統の織布技法で最も難しく、すでに失われてしまったと伝えられていた斜紋織と夾織は、蒋梅貞さんと許春美さんの研究によって蘇ったものだと強調。また、今回「先住民族民俗類文化資産保存団体」に認定された先住民族集落の長老たちは、集落の伝統祭典を維持するために非常に苦労していると訴えた。
 
 

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