中華民国(台湾)の対中国大陸政策を担う行政院(内閣)大陸委員会は9日、最新の世論調査の結果を発表した。それによると、ケニアで中国大陸住民を相手に振り込め詐欺を行っていたとされる台湾出身の容疑者5名を、ケニア当局が中国大陸に送致した問題について、「台湾に送致して司法調査を受けるべき」と考える回答者が60%以上に達することが分かった。大陸委員会は、「台湾海峡両岸の当局は共に知恵を絞り、辛抱強く、双方が確立した既存のメカニズムを守っていくべきだ」と呼び掛けた。
大陸委員会は9日、2016年第2回定期世論調査の結果を発表した。それによると、台湾と中国大陸が締結した「台湾海峡両岸共同犯罪取り締まり及び司法互助協議(協定)」に基づき、第三国で発生した振り込め詐欺事件については、「台湾出身の容疑者の身柄を台湾に送致し、台湾で司法調査を受けるべき」だと考える回答者が62.1%に上ることが分かった。
また、中国大陸の当局による中華民国政府に対する態度について、「友好的ではない」との回答者60.7%で、「友好的」の20.9%を大きく上回った。中国大陸の当局の台湾住民に対する態度についても、「友好的ではない」が42.7%で、「友好的」の40.1%を上回った。
このほか、両岸が調印した21項目の協定について、「継続して実施することを支持する」と回答した人は77.1%に、双方が引き続き連絡と話し合いを進めて問題に取り組むことについて「支持する」と回答した人は89.1%に達した。
5月20日に新政権が発足して以来、中華民国政府は台湾海峡両岸関係の平和と安定を維持するために尽力する政策と立場をとっている。これについて「支持する」との回答は83.8%に、民主主義のメカニズムと民意に基づいて両岸問題に取り組むことについても、「支持する」との回答は77.5%以上に達した。
大陸委員会の調査ではさらに、「最近、台湾海峡両岸間で発生した突発事件は、双方の意思疎通と連絡体制の重要性と、それが誤解や誤った判断を減らす助けになるという事実を浮き彫りにした」との考えに、「同意する」と回答した人は65.9%だった。
さらに、台湾海峡両岸関係の状況については「広義の現状維持」を主張する回答者が依然として大多数を占め、今回の結果では88.9%だった。また、現在の台湾海峡両岸間の交流のスピードについては、「ちょうど良い」が39.6%、「早すぎる」が12.6%、「遅すぎる」が33.7%だった。
今回の調査は大陸委員会が国立政治大学選挙研究センター(台湾北部・台北市)に委託し、7月29日から8月3日までに、台湾の有権者(20歳以上)を対象に電話で行ったもの。有効サンプル数は1,075件、信頼度は95%、サンプル誤差は±2.99%以内。
大陸委員会の邱垂正副主任委員兼報道官は報道機関のインタビューに対し、今回の世論調査の結果は、蔡英文総統が5月20日の就任演説で述べた「民主主義の原則と普遍的な民意に基づいて台湾海峡両岸問題に取り組む」という姿勢について、政府の対中国大陸政策がこの原則にのっとって行われているものであり、且つそれについて国民の大多数が賛同していることが明らかになったと説明した。