2024/12/26

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注射針にガラス金属、台湾科技大学が「痛くない注射」実現

2016/09/05
国立台湾科技大学材料工学学科が、金属ガラスのメッキを施した注射針で摩擦を減らし、注射の痛みを和らげることに成功した。右から台湾科技大学の朱瑾教授、一人おいて日本の徳島大学の安澤幹人教授。(国立台湾科技大学提供、中央社)

注射は多くの人にとって「怖いもの」。国立台湾科技大学(台湾北部・台北市)材料工学学科の朱瑾教授はこのほど、金属ガラスのメッキを施した注射針を開発、注射の際の摩擦を減らし、痛みを和らげることに成功した。

この研究成果は先ごろ、国際的な科学雑誌、「サイエンティフィックリポーツ(Scientific Reports)」に掲載されて世界の注目を集めた。現在は病院や企業との提携に向けて積極的に話し合っているところで、将来は実務的な使用が期待される。

朱教授によると、注射に伴う痛みは、針が人体の組織に入っていく過程において接触面が増えるに連れて摩擦や抵抗が大きくなることが原因で、注射を打つ方も力を入れることになる。従来型の注射針の表面には液状の潤滑剤がコーティングされているが、歯科医が使用する麻酔注射、美容医療用の小さい針など小型の注射針には滑りをよくするための処理はなされていない。

国立台湾科技大学の研究チームは注射針に金属ガラスをメッキ。実験の結果、摩擦を8割減らせ、痛みを抑えられるばかりでなく、針の消耗率も下げられることが証明された。実験では、10回使用しても針の先が磨耗せず、小型の針として美容医療や手術の縫合針などの医療器材、及び工業生産で穴を開ける設備に大変適していることがわかった。

朱教授によれば、この研究成果は国立台湾科技大学と日本の徳島大学が協力して両大学がそれぞれの優位性を発揮して生まれた。台湾科技大学の持つ材料、機械、電子面での研究力と、徳島大学の生物、医学などでの研究力による相乗効果だという。

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