行政院(内閣)は8日、蔡英文総統が掲げる重要政策の一つである「アジアのシリコンバレー推進計画」の内容を承認した。同計画の推進期間は8年間とし、2025年までに台湾の「モノのインターネット(IoT)」の世界シェアを5%に、生産高にして4.6兆~9.5兆台湾元(約15兆~30兆日本円)に引き上げることを目指す。これにより、台湾の経済成長率を毎年0.9~1.7%押し上げる。
経済政策等の立案を担当する行政院国家発展委員会(日本の省レベル)は8日、行政院院会(閣議)にて「アジアのシリコンバレー推進計画」の内容を報告した。行政院の童振源報道官が閣議終了後に開催した記者会見で発表したところによると、行政院の林全院長(首相)は「『アジアのシリコンバレー計画』は政府が掲げる五大新興産業の中核をなす計画だ。この計画の実行がうまくいかなければ、その他の新興産業にも影響が及びかねない」と指摘したという。
国家発展委員会の龔明鑫副主任委員(副大臣)は、この計画の推進により次の世代の人々が活躍できる産業を生み出し、台湾をアジア太平洋地域における若者のイノベーションやスタートアップの拠点にするほか、米シリコンバレーなど世界的なテクノロジーの中心地とつなげていきたいと抱負を述べた。龔副主任委員によると、今後1年以内にIoTの教学に関するバーチャル・プラットフォームを確立し、IoTの海外大手2社を目標に、対台湾投資と指標的計画への参加を誘致する。
龔副主任委員はまた、「アジアのシリコンバレー」では米シリコンバレーの「失敗を容認する文化」を取り込みたいと指摘。これは、投資に失敗しても、融資を受けた資金を返さなくてもよいという仕組みで、起業に失敗しても再度チャレンジするよう奨励するのが狙い。龔副主任委員は、行政院国家発展基金でも融資審査においてこの「失敗を容認する文化」を取り入れることが可能だと述べた。