蔡英文・総統は11日、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議にリーダー代理(蔡英文総統の代理)として参加する宋楚瑜氏と会見し、三つの任務を与えた。三つの任務とは、経済発展のための新たなチャンスを持ち帰ること、世界の政治経済情勢が変化する中、地域経済統合の進展状況を細かく把握すること、地域経済統合への参与に向けた台湾の願いを国際社会に伝えること。
今年のAPEC首脳会議(APEC Economic Leaders’ Meeting)はペルーのリマで開かれる。蔡総統は野党・親民党の宋楚瑜主席(党首)に、自身の代理として参加するよう要請。
蔡総統は、まず各国との幅広い交流を通じて、経済発展のための新たなチャンスを持ち帰る必要性を指摘。蔡総統は、新政権は発足以来、経済振興に全力であたっており、APECへの参与はまさに、政府が地域経済統合参加と「新南向政策」の推進で国内産業の発展を図る方法の一つだと説明した。「新南向政策」とは、東南アジア並びにインド、オーストラリア、ニュージーランドとの関係を深める政策。投資・貿易面での関係のみならず、民間交流、文化、教育など多面的なパートナー関係の構築を目指す。
蔡総統は、今年のAPECのテーマは「質の高い成長と人材開発」で、そこには「地域経済統合の推進と成長」、「地域フードマーケットの促進」、「アジア太平洋地域の零細・中小企業の近代化」、「人材開発促進」が含まれると説明。蔡総統は、これらはいずれも台湾が同意し、サポートする発展方向だとし、宋楚瑜氏がこれらの議題で各国と幅広く意見交換することで、台湾が各国の動きをより理解出来、それが経済発展の契機となるよう期待した。
蔡総統はまた、地域経済統合参与に対する台湾の人々の願いを宋楚瑜氏が国際社会に伝えてくれるよう要請、対外貿易を促進するためには地域経済統合のメカニズムに積極的に加わり、他国とFTA(自由貿易協定)を締結していくことが必要との見方を示した。蔡総統は、地域経済と貿易の統合メカニズムに加われるよう政府は努力し、その準備も整えて、台湾のためにいっそう多元的で活力のある対外貿易ネットワークを構築してみせると強調した。
蔡総統はそして、APECはこれまでずっと、台湾が地域経済統合への参与を果たすための重要なプラットフォームであり続けていると指摘、宋楚瑜氏及び代表団のメンバーが今回のAPEC首脳会議を通じて台湾の立場を明確に伝え、積極的に各国の代表と交流することで、地域経済の発展のために台湾がイノベーター、共有者、奉仕者という積極的な役割を担っていく力を備えていることを知らしめるよう求めた。