中華民国政府は、重点政策の一つに「アジアのシリコンバレー計画」を掲げている。まもなくこの計画の執行センターの「投資長」に就任する翁嘉盛氏は1日、「計画の推進において、政府はより良い環境とインセンティブを創出する役割を果たす。世界各地の資金が、台湾のデジタル経済産業に投資したいと思えるようにしていきたい」と抱負を語った。
行政院(内閣)が主導する「アジアのシリコンバレー計画」は、すでに計画の詳細が公開されている。台湾北部・桃園市に設立が決まっている同計画の執行センターも、まもなく業務を開始することになっている。翁嘉盛氏は1日、米ワシントンにあるシンクタンク「Global Taiwan Institute」に対して、同計画のポイントを説明した。
翁氏によると、同計画の二大主軸は、IoT(モノのインターネット)産業の技術革新に関する研究・開発を進めることと、健全なスタートアップ環境を築き上げ、地元産業の発展、グローバル展開、そして未来へとつなげていくことにある。中国大陸でも、IoT産業の推進や、「孵化器」と呼ばれる起業拠点の発展に力が入れられている。これに対して台湾の優位性は、ソフトウエア開発の人材から知的財産権の保護に至るまで、「アジアのシリコンバレー計画」を推進するための好条件がそろっていることにあると翁氏は指摘する。
翁氏と「Global Taiwan Institute」との会合に同席した米国務省経済・ビジネス局国際通信・情報副調整官のSteve Lang氏は、「米国は、台湾が推進しようとしているこの計画について研究を進めているところだ」としながらも、「現在理解している限りでは、台湾が提唱する内容は、米国が推進している科学技術及びデジタル経済の発展スタイルと一致している。台湾と米国は長く情報通信技術(ICT)産業分野で協力関係にあり、且つ様々な成果を挙げていることから、今後も関連分野でより関係を深めていけると期待している」と述べた。