蔡英文総統は1日午前、ハッキング及び情報セキュリティに関する台湾最大の国際シンポジウム「第12回HITCON Pacific 2016」(主催:社団法人台湾駭客協会)に出席した。蔡総統は開幕のあいさつで、「従来の考え方では、政府の立場とハッカーは対立するものだ。なぜなら政府は官僚型組織であり、これに対してハッカーは平等と共有を追求する存在だからだ。政府はハッキングを取り締まり、規制する役割を果たし、これに対してハッカーは『情報の自由』を求める」と指摘。しかし、「ハッキング文化とは、これまでの伝統から脱却し、現状と戦おうとする精神であり、これはまさに政府組織が必要としているもの。この精神があってこそ、組織を刺激し、成長を促し、そしてイノベーションをもたらす動力とすることができる」と続けた。
蔡総統は、政府とハッカーが交流を持ったことはこれまでもあり、例えばプログラマーでもあり、2か月前に入閣した唐鳳政務委員(無任所大使に相当)は、ハッカーの思考や言語を政府に持ち込み、政府組織全体に新たな風を吹き込んだと述べた。
行政院は今年8月、国の情報・通信のセキュリティ業務を担当する「資通安全処」を設立すると共に、台湾初となる「資安管理法」の制定を進めている。これは、政府機関や一部の民間企業を対象に、情報セキュリティに関する規範を明確に定める法律。
蔡総統は、優れた情報セキュリティは台湾のデジタル経済の発展、ひいては経済全体のレベルアップにとってすでに必要不可欠な基礎となっていると指摘。政府は今後も情報セキュリティ制度を強化、資源の投入を継続し、台湾企業による情報セキュリティのコア技術のレベルを向上させていきたいと述べた。
蔡総統はまた、「HITCON Pacific」がこの約10年間、創造への情熱と改善への信念をもって、情報セキュリティ技術分野の国際交流や、台湾における人材育成に努め、そして社団法人台湾駭客協会(HIT, 台湾ハッキング協会)」の設立を促進してきたと評価。政府はハッカーとの対話を維持し、いつでもその門戸を開いていたいと締めくくった。