第1回ミケーレ・ノヴァーロ国際作曲コンクール (Concorso Composizione Michele Novaro) は2日、イタリア北部トリノにあるジュゼッペ・ヴェルディ音楽院の音楽ホールで、決勝作品の初公演を行うと共に、入賞者の順位を発表した。その結果、台湾出身で、26歳の新鋭作曲家、林佳瑩(Chia-Ying Lin)さんが、大型室内楽「エトナ」で2位を獲得した。
この国際作曲コンクールは、イタリアのメンデルスゾーン協会が主催し、イタリア国会からも支援を得ているもの。今年が初開催となる。イタリア国歌を作曲したミケーレ・ノヴァーロ(1818-1885)を記念すると同時に、イタリアの情景を大型室内楽の創作に盛り込むよう奨励することで、イタリアの文化的内在や国家へのアイデンティティを反映させた作品を生み出すのが狙い。
ミケーレ・ノヴァーロがイタリア国歌を作曲したのはわずか29歳のときであることから、この国際作曲コンクールの参加者にも30歳以下という年齢制限が設けられた。今回は世界18カ国・地域から若い作曲家らが参加。林佳瑩さんは十三重奏「エトナ」で、決勝ラウンド進出の3作品の一つに選ばれた。
審査員によると、林さんの「エトナ」は人を引き込む芝居のような力を持ち、瞬時にマグマを吹き出すエトナ火山のように人の心を揺さぶりながら、「動」のエネルギーの中に奥深い静寂を持ち合わせた作品。今後の創作活動での活躍が期待できるという。
林佳瑩さんは1990年生まれ。中華民国教育部(日本の文部科学省に類似)の2016年度海外留学奨学金の奨学生で、現在はローマ・サンタチェチーリア音楽院に在籍し、作曲に関する最高学位の取得を目指している。2015年にはイタリアのピエロ・ファルッリ国際作曲コンクールで優勝、フィンランドのジャン・シベリウス国際作曲コンクールで3位を獲得している。