蔡英文総統は17日午後、台北市客家文化主題公園(台湾北部・台北市中正区)で開催された「2016年移民フェスティバル開幕式典」に出席した。蔡総統は、「新移民」と呼ばれる、台湾の住民と結婚して台湾に移り住んだ東南アジアや中国大陸籍の配偶者たちの台湾への貢献を称えると共に、より多元的で包容力のある社会を作り上げるため、努力を続ける政府の決意を強調した。
蔡総統は開幕のあいさつで、「台湾は移民社会である」とした上で、過去20数年間にわたり、多くの移民や外国人労働者が海外から台湾へやってきて、台湾の各業種で黙々と努力をしてきたことに対し、心から感謝の気持ちを伝えた。
蔡総統はまた、新政権は発足以来、「新南向政策」を掲げ、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどとの交流強化に努めているが、これは「経済や貿易分野にとどまらず、文化や人材分野での交流も含む」と説明し、この「移民フェスティバル」こそ、文化交流の成功例だと評価した。
蔡総統はさらに、政府は海外との人材交流も奨励しており、特に台湾への移民や台湾で働く外国人労働者が、不合理な制限を受けることがないよう、時代に合わない規制を順次緩和していると指摘。例えば立法院(国会)では最近、「就業服務法」や「国籍法」が改正された。台湾で働くブルーカラーの外国人労働者は、3年ごとに1度出国しなければならないという規制が撤廃されたため、今後は再入国のために再びブローカーに仲介手数料を支払う必要がなくなる。また、「国籍法」の改正により、今後は外国人配偶者が「無国籍状態」となることが回避される。
また、海外の優秀な人材をより多く台湾に招くため、政府はビザ免除措置を実施する対象国を増やし、短期的な観光やビジネス交流の利便性向上を図っているほか、専門技術を有する海外の人材とその家族が安心して台湾へ移住できるよう、海外からの人材誘致における台湾の優位性を高めるため、新たな法律の制定にも着手している。
教育分野に関しては、初等教育の段階から「新移民」の存在を有効活用し、台湾の子どもたちと国際社会との接点を作るため、政府はこのほど、教育部(日本の文部科学省に類似)が定める2018学年度(2018年8月から2019年7月まで)の「教育課程綱要(学習指導要領)」に、東南アジア諸国の7つの言語を小学校の必修科目である母語教育の選択肢に盛り込む方針を固めたばかり。今後、「新移民」を親に持つ子どもたちは、学習の場において絶好の外国語教師となると期待が寄せられている。
蔡総統は最後に、グローバル化が進むにつれ、ボーダレスな移動が日常的に行われるようになっていると指摘。成熟した民主的な社会は、それに適応できるような能力を備える必要があるとした上で、「海外からの移民も労働者もすべて、我々台湾の一員だ」と強調した。