台湾の研究チームは、技術的に難しいとされる海底地震計の国産化に約10年前から取り組み、その成果を出している。2011年と2016年には韓国の研究チームと協力し、高い評価を得ているほか、国産品を好むことで知られる韓国から、すでに台湾製「海底地震計」2台の注文を得ている。台湾の研究チームは今後、米国とも協力し、海外展開を目指す。
国家実験研究院台湾海洋科技研究中心(Taiwan Ocean Research Institute、略称TORI)は、台湾の最高学術研究機関である中央研究院地球科学研究所(台湾北部・台北市)と、国立中山大学(台湾南部・高雄市)海下科技研究所と協力し、2008年から海底地震計(OBS)の研究・開発を行っている。海底地震計はその設計上、さまざまな考慮が必要で、技術的にも難易度が高いため、現在、製造能力を有する国は世界でも10か国にも満たない。
国家実験研究院は27日、「台湾と韓国による国際協力の新たな一歩:台湾製『海底地震計』のグローバル市場進出に関する国際記者会見」を開催し、同研究院の過去10年近くに及ぶ研究過程と、韓国の研究チームとのここ数年の協力の成果について発表した。
台湾海洋科技研究中心の張家溥アシスタント研究員によると米国やドイツ製の商用OBSの重量は平均400㎏、価格も380万~400万台湾元(約1,383万~1,455万日本円)に達する。一方、台湾製OBSの特徴は、重量がわずか200㎏で、販売価格も比較的低く、海外の商用OBS価格の3分の1から2分の1程度にとどまる。台湾海洋科技研究中心の陳柏棋アシスタント研究員も、台湾製OBSの記録器は積み木型の積み上げ方式の設計になっており、海外製よりもスケーラビリティ(scalability)が優れていると指摘する。
国立中山大学海洋科学学院の王兆璋院長は、海底地震計について台湾の研究・開発、製造能力はすでに海外からの輸入に依存する必要がないレベルに達しており、今後の目標は台湾製OBSの海外輸出と、海外の研究機関と肩を並べることだと抱負を語った。