蔡英文総統は29日、「人権保護のレベルは永遠に上だけを目指していく必要があり、この視点から考えれば、台湾もまだ努力が必要だ」とした上で、「上を目指し、下に根を下ろす。そして台湾の人権保護レベルを、世界の国々にとっての高い目標にしよう」と呼びかけた。これは蔡総統が29日、総統府人権諮詢委員会委員会議に出席した際に述べたもの。
蔡総統は、「台湾には独自の、人権追求のストーリーがある」とした上で、戒厳令が敷かれていた権威主義体制の時代、台湾住民は民主主義と自由の獲得を、最も重要な人権だとみなしていたと指摘。1979年12月10日、『党外人士』と呼ばれた多くの民主運動家の先人たちが、「世界人権デー」のこの日に台湾南部・高雄で人権大会と抗議デモを行った。これがのちに台湾の民主化を推し進めるきっかけとなった「美麗島事件」だと説明した。
蔡総統によると、自由を求めて自決した故・鄭南榕氏は、そのオフィスに「争取言論自由、維護人権尊厳(言論の自由を勝ち取り、人間の尊厳と人権を守る)」と書かれた扁額を掲げていた。つまり、故・鄭南榕氏にとって、自由とはすなわち人権であり、蔡総統は「多くの先人たちの努力と犠牲の下、現在の成熟した民主体制が形成され、そして憲法に掲げられた言論の自由に対する保障が守られている」と説明した。
一方で蔡総統は、「人権保護の追求にゴールはなく、人権保護が比較的進んでいる国もあれば、まだ努力が必要な国もある」とし、「人権保護のレベルは永遠に上だけを目指していく必要があり、この視点から考えれば、台湾もまだ努力が必要だ」と述べた。