科技部(日本の文部科学省に類似)は17日、台湾科技大学(台湾北部・台北市)にて台湾の法人研究機構と教育機関の研究・開発チームとの産学連携合同プロジェクトの成果発表会を開催した。
成果発表会では「早産児のスマートケアシステム開発構想」などが発表された。これは財団法人金属工業研究発展センターが国立成功大学(台湾南部・台南市)と協力して行った、人間工学に基づいたベッドと小児理学療法の超域合同研究の成果。「早産児をいかにして健康的に成長させるか」との課題がプロジェクトのきっかけとなり、保育器で早産児ケアを行う病院のために開発されたシステム。
成功大学の呉豊光教授が特許を持つベッドマットをベースにしたもので、姿勢固定ベッドの設計を利用して鳥の巣のようなベッドマットを作り、周囲の騒音をシャットダウンし、母体と似た環境、つまり羊水で保護された子宮内のような環境で、早産児をケアするというシステム。
現在の早産児のケアでは、骨の発達を促すため、小さなタオルで早産児の姿勢を固定するのが一般的。しかし、この姿勢固定ベッドは低騒音の機械伝動装置に加え、ベッドに搭載した圧力センサーにより、早産児の姿勢固定に必要なサポートを提供する。また、ケアを行うスタッフも、早産児の姿勢がニーズに合致したものかどうかを知ることができる。
今年末までに具体的成果(サンプル)が完成する見通し。その後の臨床実験によって安全性が確保されれば、早ければ2018年には商品化される可能性がある。販売価格は、現在病院で使用している保育器(30万~40万台湾元、約107万~142万日本円)と同水準に抑えたい考え。
科技部の蔡明祺次長(副大臣)は説明会のあいさつで、行政院国家科学委員会が2014年の省庁再編で科技部となって以降、経済部(日本の経済産業省に相当)所轄の法人のエネルギーとネットワークを活用し、2015年から台湾の法人研究機構と教育機関の産学連携による合同プロジェクトを進めてきたと説明。これまでに53件の産学連携を指導し、教育機関のロイヤリティ収入は2億7,000万台湾元(約9億7,000万日本円)に達している。今後、関連産業の生産高は約84億台湾元(約301億日本円)に達すると見込んでいる。
2016年度、同プロジェクトの範囲は電子情報通信、機械材料、バイオ医療、サステナブル・エネルギー、土木建設の五大領域に拡大した。2016年に設立した「産学マッチングサービスチーム」は、現在までに台湾の大学の152学部・学科を訪問し、215件の問い合わせに対応。今後の産学連携につながる可能性がある案件10件の掘り起こしに成功している。