WHO(世界保健機関)の年次総会、第70回WHA(世界保健総会)で、中華民国(台湾)と外交関係のある国(国交樹立国)のうち11カ国は、「台湾をオブザーバーとしてWHAに招待する」案を提出した。WHAはスイスのジュネーブ時間22日午前に開幕すると、最初に総務委員会会議を開き、同提案を審議すると共に「2対2の弁論」を行った。
中華民国の国交樹立国であるスワジランドとソロモン諸島が、同案を本会議の議題に加えることを支持する発言を行ったのに対し、中国大陸とキューバは反対する側を代表して反対意見を述べ、議長は同案を議題に加えないことを提言した。その後開かれた全体会議でも同案について「2対2の弁論」が行われ、国交樹立国のセントビンセント及びグレナディーン諸島とパラオはそれぞれ、医療衛生面での国際間協力の角度から台湾がWHAのオブザーバーとなることの必要性を訴えた。
一方、中国大陸とキューバの代表は再び「一つの中国原則」を主張、中国大陸はすでに台湾の人々が健康を追求する権利を支援しているとして、同案への反対を表明した。これに対して中華民国の国交樹立国の代表は、WHOは専門機関であり、政治的要素が、WHAなどの会議やメカニズム、活動に対する台湾の参与に干渉することを認めてはならないと強調、なぜなら人類の健康と福祉が政治的要素の犠牲になってはいけないからだと主張した。しかし最終的に議長は、同案を議題には加えないと裁定した。
中国大陸が国連2758号決議とWHA25.1決議を一方的に引用したことに対し、中華民国政府は、この二つの決議は台湾が専門能力を以てWHOに参与することと関係無く、これらの決議は台湾の2,300万人の健康の権益に関する問題を解決できないと重ねて説明。政府はさらに、中華民国政府だけが国際組織において中華民国(台湾)の国民全てを代表でき、台湾の2,300万人の健康に責任を負っているのであり、政治的な理由で台湾の参与を認めないことは、WHO憲章に反するのみならず、台湾の人々の権利をはく奪することでもあると批判した。
中華民国政府は今年、国交樹立国が中華民国のための提案を行うよう再度要請、多くの国が厳しいスケジュールの中で提案手続きを終え、中華民国の主張をWHOの会員国に広く知らしめることに成功した。外交部(日本の外務省に相当)は今年の提案者、弁論代表、同案を支持した友好的な国々に対して改めて謝意を表し、政府は今後も引き続き専門性、実務的、貢献の原則を堅持しながら、尊厳を保った上でのWHO参与に向けて世界の公衆衛生の安全性のために全力で貢献し、世界が「Leave no one behind(誰一人取り残さない)」という目標を達成できるよう協力していくと強調した。