台湾北東部・宜蘭県を拠点に活動するダンスグループ「蘭陽舞踏団」を設立したイタリア出身の秘克琳神父(本名はGian Carlo Michelini)に6日、中華民国(台湾)の身分証が与えられた。文化・芸術分野での台湾への貢献が評価され、中華民国への帰化が認められた初のケースとなった。帰化後の本籍地は宜蘭県になる。翌7日に誕生日を迎える秘克琳神父にとっては、最高のプレゼントとなった。
秘克琳神父は1935年生まれ。カトリック系の神学校を卒業後、29歳のとき、自らの意思で宣教のため台湾へやってきた。1966年に財団法人天主教蘭陽青年会と「蘭陽舞踏団」を設立。ダンサーの育成に努めながら、芸術や文化に立脚した教育で、台湾の人々の芸術や美学の基礎を育てた。
秘克琳神父はこれまで、「蘭陽舞踏団」の海外公演に力を入れてきた。文化や芸術を通して世界各地に友人を作ることで、外交上の苦境を突破するのが狙いで、同時に宜蘭県が毎年夏に開催している「宜蘭国際童玩芸術節((International Children's Folklore & Folkgame Festival, Yilan)」の発起人の一人として、世界各地から舞踊団を招くなど、その国際化を実現した立役者でもある。2015年には馬英九総統(当時)から紫色大綬景星勲章を授与されている。
台湾で半世紀以上にわたって尽力し、「宜蘭国際童玩芸術節(今年の開催期間は7月1日から8月13日)」も今年で22回目を迎える。その貢献が認められ、ついに秘克琳神父に中華民国国籍が与えられることになった。身分証と戸口名簿の授与式は「宜蘭国際童玩芸術節」の会場である冬山河親水公園園区で行われた。「これまでも秘克琳神父を家族のように思っていたが、ついに本当の家族になれた!」と秘克琳神父を知る人たちは歓迎している。