蔡英文総統は10日、「より良い台湾」をテーマに双十国慶節(中華民国の建国記念日)の祝賀談話を発表した。談話の全文は中国語で約4,600字。蔡総統はその中で「台湾」という言葉を48回、「両岸」を14回、「中華民国」を6回使った。昨年は、「台湾」と「両岸」が各19回、「中華民国」が3回だった。蔡総統の談話のポイントを以下、10項目にまとめた。
一、中国国民党の呉敦義主席、親民党の宋楚瑜主席、時代力量の黄国昌主席、民国党の徐欣瑩主席が、中華民国の誕生日であるこの日に、党派や立場の違いを越え、共にここに集まった。これこそが国慶節の意義である。
二、直接選挙で選ばれた3名の歴代総統、李登輝氏、陳水扁氏、馬英九氏に感謝する。この3名は台湾が民主自由を追求するそれぞれの段階を代表する人物で、3名が率いた政権は、いずれも台湾の発展に優れた成績を残した。どの政権も、この土地のために奮闘しようとする気持ちは同じだった。
三、我々は問題を解決する政権だ。台湾が直面する課題を一つ一つ克服することが、私の仕事だ。どれほどの困難が伴う改革も、私と頼清徳行政院長(首相)が率いる行政チームは、最後までやり抜き、約束を実現する。
四、すべての国軍に感謝する。彼らは中華民国の存続と発展の守護者であり、台湾の民主主義と自由な生活にとって強固な後ろ盾である。
五、我々は全力で戦力を強化するが、戦いを求めることはない。台湾海峡と地域の平和と安定を維持し、台湾の民主主義と自由な生活を守り、台湾住民が未来を選択する権利が影響を受けないよう力を尽くす。
六、「我々の善意は変わらない。約束も変わらない。かつてのような対抗路線には戻らない。しかし、圧力に屈することもない」ことを重ねて訴える。これこそ、台湾海峡両岸関係に取り組むに当たっての一貫した原則である。
七、台湾海峡両岸と地域の発展における新たな情勢に向き合い、両岸双方の指導者は共に努力し、長年蓄積してきた円熟した政治的知恵を生かし、強い意志と最大限の忍耐により、共に台湾海峡両岸の相互関係の新たなモデルを模索し、長期的に続くことのできる平和で安定した両岸関係のための基礎を打ち立てなければならない。
八、中華民国政府が掲げる「新南向政策」の目的は、台湾が国際社会において改めて有利な地位を探し出すことにある。急速に変化するアジア太平洋地域の中で、台湾はその繁栄と安定のためにより重要な役目を果たす準備をすでに整えている。
九、今後行われる憲政改革の推進過程において、台湾の各政党の代表と意見を交換したいと願っている。各政党の代表の皆さんに対し、ぜひ膝を交えて話し合おうと正式に呼びかける。
十、式典の冒頭で国歌斉唱をリードしてくれた米国出身の甘恵忠(Brendan O'Connell)神父に感謝する。神父は人生の数十年を台湾に捧げ、すでに中華民国の国籍を取得している。すべての台湾住民を代表して、甘恵忠神父に感謝する。